何が見えますか?どう見えますか?

教頭 上川 恵

 白には200色ある、と誰かが言っていました。自分にとっての「白」は、他の人にとっての「白」と一致しない可能性が高いという事です。
 物の見え方は、人それぞれ違うのです。

 スマートフォンのアプリを使うようになって、地図を読んだり描いたりしなくなりました。道案内や簡易地図を描く力が低下したように感じます。いざ人に道を教えようとしたとき、目印となる建物や看板を伝えるのだけれど、なかなか伝わらない事があります。私にとって目印になりそうな建物が、他の人にとっては通り過ぎてしまうくらいの目立たない物だったりします。
 物の見え方は、人それぞれ違うのです。

 我が子がかくれんぼを覚えたばかりの小さい頃、机の下に隠れている事に気が付かないふりをして、何度もかくれんぼに付き合ったことがあります。机の下の子どもからは私の顔が見えないので、「隠れている」と思っているのですが、大人からは顔以外全てが見えていて、その様子を愛おしく思いながら、見えないふりを続けます。
 物の見え方は、人それぞれ違うのです。

 保育園からの帰り道、大人なら15分で帰れる距離を、よちよち歩きの我が子と一緒の時は倍以上時間をかけて帰宅していました。歩くのがゆっくりなだけでなく、何かを見つけては立ち止まって観察を始めるからです。マンホールの前で立ち止まり模様をながめたり、ダンゴムシを見つけて触ってみたり、アリの行列について行ったり、葉っぱを拾って持って帰ったり……。子どもがいなければ、どれも見もせず通過していた物ばかりです。子どもを通して知った新しい視点でした。私が見ていた世界はほんの一部だったのだと気付かされました。

 教員は、ケンカをした子どもの仲裁をすることがよくあります。双方から話を聞くと、大抵どちらも正しい主張をしている事がほとんどです。ではなぜケンカになるのかというと、自分の視点でしか物事を見られず、相手の視点に気がつけないからです。私たちは、気が付けなかった相手の視点を丁寧に説明し、互いが納得できるように交通整理をします。全ての仲裁がうまくいく訳ではありません。納得できないという思いを拭えない子もいます。そうした場合は、相手の視点に気がつき、受け入れる事ができる日が来るまで待つしかありません。

 こういった事は、子どもだけではなく、大人も同じようなことがあるのではないでしょうか。物の見え方は人それぞれ違う、という事をよく理解していれば、大抵の事は受け入れられると思うのですが、なかなか難しい事です。子どもとご一緒に大人も学ぶ事がたくさんあります。

1年生立教小交歓会

 春の暖かな日差しがふりそそぐ中で、今年も立教小学校の1年生と交歓会をおこないました。「男の子がよろこびそうな色やデザインってなんだろう?」「やっぱり黒とか茶色じゃない?」そんな楽しそうなお話をしながら、男の子に渡すカードを事前に作りました。当日、男の子に会うまで緊張していた様子の子どもたちも、カード交換をするとあっという間に笑顔になり、お友達になることができました。交換したカードを首からさげ、互いに手をつないで構内をお散歩する姿は、見ている人が自然と温かい気持ちになる、微笑ましい光景でした。プレーデーでの再会を約束し、井の頭公園へ向かう男の子たちを見送りました。

健康診断に行こう!

 毎年4月に行われる本校の健康診断は、外部委託ではなく、ドクターをお招きし、各教室を健診会場として、児童が自由に巡って健診を受けるスタイルです。この健診に欠かせないのが6年生。1・2年生を率いてお世話をする誘導係、検査項目の説明や健診票の配布などをするクラス係、内科・耳鼻科・歯科など各会場での案内や先生のサポートをする係があり、準備と当日の運営と片付けを担います。
 「自分たちで自由に巡って健診を受けるなど聞いたことがなく、なんてユニーク!と思っていました。一般的な健診はどうしても受け身になってしまいますが、このスタイルは自分の体について関心をもち、意識して自主的に健診を受けることができる良さがあるなと。それに加え、巡る順番を考えたり空いている会場を探したりと、自分なりに頭を使って行動する力も身に付きますよね。」そう話すのは、先月退職した保健の渡辺教諭。渡辺教諭が入職した時には既にこのスタイルだったそうで、50年以上続く伝統の健康診断なのです。
 来校したドクターからは「6年生が立派に係の仕事をしていて感心しました。」と、お褒めの言葉をよくいただくそうです。本校の健康診断を初めて体験した枡谷教諭も「6年生も含めた多くの人たちが、それぞれの場所で仕事をしてくださるから運営できたのだと実感しました。6年生が働き者で感激しました。少し伝えると自分たちなりに工夫して働いていましたし、『もっと仕事ありませんか?』と仕事を欲しがる子がいるくらいで。」と驚いていました。5年生の時に「縁の下の力持ち」として、自分の時間や知識を喜んで相手のために使うことを積み重ねてきた子どもたち。「疲れた〜!」と言うその表情は、一生懸命に仕事をやり切った達成感で溢れていました。