キンモクセイ

教頭 上川 恵

 今年は遅いな……。
 例年、二学期が始まってしばらくすると、キンモクセイの甘く上品な香りが秋風に乗って漂ってくるのですが、今年はなかなかその香りを楽しむことができないでいました。昭和記念公園のホームページを見ると10月12日に咲き始めたという記事がありました。どうやら今年は、昨年に比べて2週間ほど開花が遅かったようです。
 立教女学院のキャンパスでも、運動会が終わった10月半ばにやっと花が咲き始めました。色付いた木々の葉、涼しく心地よい風、風に舞う落葉、給食のスイートポテトにパンプキンマフィン……至る所で秋が感じられます。

 先週、創立146年(小学校は創立92年)となる学院の創立記念礼拝が行われました。昨年から全校児童生徒出席の小中高同時中継による一斉礼拝という形をとっています。小学生は聖マリア礼拝堂のスクリーンで、聖マーガレット礼拝堂で行われている礼拝の映像を見ながら参加するのですが、大きなスクリーンに映し出された映像はなかなか臨場感があり、まるでその場に居るかのような錯覚に陥るほどです。普段聞くことができない大きなパイプオルガンの迫力に後押しされて、子ども達の歌声は自然と力が込もっているように感じました。普段は別々に活動している各校の聖歌隊も、この日は合同聖歌隊としてご奉仕しました。約80人の透き通るようなハーモニーが感謝と喜びを伝えてくれていました。
 礼拝の後、小学校では昨年に引き続き、資料室長佐野新生先生による講演が行われました。昨年は創立から終戦までを、今年は戦後から現在までの小学校の歩みを、記録写真と共にお話しくださいました。中庭のヒマラヤ杉が自分の背丈ほど小さかったことや、今は軽井沢キャンプ場にある礼拝堂が小学校で使われていたこと、開通当初の2両しかない井の頭線、90年以上も前から使っている今と同じ食堂の机、今の校舎が出来上がっていく航空写真など、興味深い写真が映し出されるたびに声をあげていました。子どもたちだけでなく私たち教員も興味深く聞かせていただき、先輩方が脈々と受け継いできた立教女学院らしい教育とは何か、新しい時代を担う今の子ども達に必要な教育は何か、を考えるきっかけをいただきました。
 「子ども達は神様からお預かりしている大切な命」「子どもの中にこそイエス・キリストがいる」先輩の先生方がよくおっしゃっていた言葉です。一人ひとりを大事にし、心に寄り添う教育とはどういうものか、実践してきた先輩方の行いを思い出しながら歩んでいます。

 神様が私たちに示されるヒントは、日々の生活の中にあると思っています。例えばキンモクセイは、その香りが恋しくなった頃、ちゃんと花を咲かせてくれました。“必要な時にちゃんと側にいてあげる”心に寄り添うとは、こういう事かも知れません

芸術鑑賞会

 9月28日(水)聖マリア礼拝堂にて芸術鑑賞会を行いました。今年の演目は、『ピーターとおおかみ』です。古くから、数多くの絵本やアニメになって世界中で親しまれてきた作品を、今回は「音楽の物語」として体験しました。
 当日は、ピアノ・バイオリン・ティンパニーに加え、フルート・クラリネット・オーボエ・ファゴット・ホルンの管楽器の演奏者の方、そして物語を進行する語りの方とパントマイムの方が、ワークショップと演奏を聞かせてくださいました。普段目にすることのない楽器も多く「どんな音がするんだろう」と、子ども達は開始前から興味津々です。語りのユニコさんによって、みんなあっという間に舞台の世界観に引き込まれていきました。楽しいお話と共に、各楽器紹介の演奏をしていただきました。どれも、子ども達がこれまで耳にしたことのある曲ばかり。みんな笑顔で歌い出します。各楽器の特徴と音を聴きながら、作品に出てくる登場人物のキャラクターのイメージを膨らませてしていきました。
 「かわいくて高いフルートの音は小鳥にぴったり。私は青い鳥が飛んでいるところが浮かびました」「おじいさんのファゴットは、しわしわの音がしました」「ノシノシ近づいて来るおおかみの音はホルンです。クルクル・キラキラしていて、見た目とギャップがありました」。子ども達一人ひとりが、自分だけの「音楽の物語」に思いをめぐらせながら楽しんでいたことが伝わります。作品の最後は、登場人物たちのパレードで締めくくりです。演奏前にみんなで練習した振り付けをして、子ども達も作品に参加することができました。
 クラシック音楽の深み、アンサンブル演奏の魅力を、友達と共に楽しみ味わうひと時となりました。

 

 

 

3年生 落語家さんによる授業 全3回

 今年で7年目。お馴染みとなった桂(かつら)米(よね)多朗(たろう)師匠にお越しいただき、落語を堪能しました♪
 前座の三遊亭(さんゆうてい)こと馬(ば)さん、三味線の足立(あだち)奈保(なお)さんもご一緒です。
 落語の「出囃子(でばやし)」「高座(こうざ)」「座布団」「着物」「扇子と手ぬぐい」「仕草」「つける」「三味線」についてなど教えていただき、全員が仕草を真似、太鼓を叩く体験をし、代表者が実演するなどしました。小噺(こばなし)や古典落語「寿限無」「牛ほめ」「まんじゅうこわい」など真打(しんうち)が演じる本物を寄席さながらに鑑賞できるのも魅力のひとつです。
 こと馬さんは女性です。女性の落語家さんがいらっしゃるのは初めてです。女性が入れない世界もまだまだありますが、落語の世界は女性を受け入れているというお話もうかがいました。
 そして、締めくくりは「何歳でも夢を持ったら実現できます!夢を持ったらあきらめずにいてください。」という米多朗師匠のお話でした。
 この後、3年生は全員が落語を演じる活動を始めました。仕上がりが楽しみです。

 

 

運動会