天を仰いで

校長 児玉 純

 子ども達とスタディツアーやキャンプに行く時の楽しみの一つが夜空を見ることです。東京とは違い、暗い夜空にはそれこそ数え切れないほどの星が瞬いています。時々子ども達に星の話をすると、「校長先生、私も星を見るのが大好きです。」と言ってくれる子がいるので、たいへん嬉しくなります。

 なぜ星を見るのが好きになったのかはっきりは覚えていないのですが、たぶん学生の時に、寒い冬の夜(冬の方が湿度が低い分、星がはっきり見えるのです)、家のベランダから寒さに耐えながら星座探しをしたのがきっかけではないかと思います。(もしかしたら、「巨人の星」や「ウルトラの星」の年代なのでそれに影響されているのかもしれません。)おおぐま、こぐま、オリオン座や牡牛座など分かれば分かるほど次を探したくなります。星座が分かると次は1等星です。「あれは双子座のボルックスだ。」とか、「冬の大三角のやたら明るい星はシリウスか。すると、あれがおおいぬ座だな。」など、興味がつながっていきます。

 季節外れの話が長くなりましたが、夏の夜空の代表は、やはり夏の大三角でしょうか。東京だとほとんど見ることができませんが、子ども達と出かける宿泊行事の時は、はくちょう座が天の川に大きく羽を広げる姿を見ることができます。頭の真上に見えてくるペガススも私の好きな星座の一つです。南の低い空が見えるところだと蠍座が見えたりしてとても感動します。今年は6年生とオーストラリアに行くので、生まれて初めて南十字星を見ることができるのではないかと、今からワクワクしています。

 キリスト教の話の中には星がよく出てきます。ダビデの星、ベツレヘムの星は有名です。創世記の中で、神様はアブラハムに向かって「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるが良い。」「あなたの子孫はこのようになる。」と大いなる祝福をお与えになりました。神様は、子ども達にも私たちにも同じように祝福を与えようと、優しく見守っていてくださいます。聖書の世界は数千年という遠い昔が舞台ですが、宇宙の時間にとっては一瞬にすぎません。今と同じ夜空を見ながらアブラハムは神様と話をしていたのだと思うと、夜空を見上げる度に神様を身近に感じます。

 明日から夏休みです。それぞれのご家庭で、楽しい計画が立てられているのではないかと思います。以前小学校だよりで書かせていただきましたが、家の周りの野の花、いわゆる雑草を調べてみるのも楽しいですし、親子で星空観察も素敵な思い出づくりになると思います。東京の空は、星空初心者にとっておすすめです。明るい星しか見えないので星座を探しやすいからです。野の花も夜空の星も名前が分かると親近感が一気にアップします。長い夏休み、神様がつくられたマクロな世界、ミクロな世界に浸る時間を計画の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 これから始まる一か月半の夏休み、健康に安全に過ごしてほしいと思います。そして、9月には、「おはようございます!」の元気な声とたくさんの思い出をお土産に、子ども達が学校に戻ってくることを楽しみにしています。そして、新しいJoy Platz(仮名)と一緒に子ども達を迎えたいと思います。

軽井沢キャンプ報告

あなたがたは神に愛されている子どもですから、神に倣うものとなりなさい。
(エフェソの信徒への手紙5章1節)

3年生のキャンプ目標
~キャンプ生活を「たのしみ」ましょう~

 3年生にとって一番嬉しいのは、なんといっても6年生のお姉さんと一緒のキャンプだということ。何も知らない準備の段階から、たくさんの事を教えてもらい、気持ちがどんどん盛り上がりました。
 【キャンプ生活を「たのしみ」ましょう】という目標のもと、いよいよキャンプの始まりです。「ワクワクする!」と期待が高まる一方、友達とずっと一緒で上手くいくのか、家族と離れて寂しいのでは、という不安も抱えながらのスタートです。いざ活動が始まれば、次々にやってくる行事や生活の準備などに必死に取り組み、時間が過ぎるのはあっという間でした。キャビン紹介の際、大きな声を出すのに戸惑いながらも役割をやりとげた誇らしい表情や、慣れない手つきで野菜の皮をむき、薪で火を焚いて……と野外炊事に奮闘する姿などに、それぞれの成長があぶり出されるようで心強く感じました。お別れの時には、お世話になったお姉さんたちにとっての思い出の曲を歌い、気持ちを届けようと頑張りました。体験すること全てが新鮮で、まさに全身で充実した時間を味わいました。キャンプを通し、支えていただいた方々や友達、ご家族への感謝を感じ、初めてのキャンプ生活を十分にたのしみました。

~感想より~
・カレーを家で作った時、むずかしいと思っていたけれど、みんなでたすけ合いながら作ると心強かったし、楽しかったです。キャビン目標の「笑顔でなかよく、きょう力し合って」野外炊事ができました。
・お世話になった6年生に「ありがとう」と伝えたいです。あと3年後、同じキャビンのお姉さんのようなお姉さんになれたらいいです。

4年生のキャンプ目標
~自分たちで考えて「たのしみ」を発見しましょう~

 今年は頼れるお姉さんがいない!初めて自分たちだけで行くキャンプに、出発前からどきどきしていた4年生。準備期間は、去年の6年生の姿を思い出しながら、どうすればみんなが楽しめるキャンプになるのかを一人ひとりが考えて過ごしました。
 いよいよキャンプ当日。気持ちの良い青空のもと、おいしい空気をおなかいっぱいに吸い込んで、軽井沢でのキャンプが始まりました。キャビンピックやキャンプファイヤーなど、すべてのプログラムを自分たちで考えてたのしみました。すすめる側の大変さや工夫がわかるからこそ、互いに声を掛け合い、みんなでたのしむことができました。
 ピッキオ野鳥の森では、ヘビやムササビ、おたまじゃくしに、けもの道など、たくさんの自然とふれあい、軽井沢の自然を味わいました。大自然の中で、命がつながっていることが実感できる、素敵な時間となりました。 
 わからないことや困ったことは、友達と相談し、自分たちで解決する姿が印象的でした。だれかに与えてもらうだけでなく、自分たちで考え、工夫をすれば、毎日にはたのしみがあふれていることも発見したように思います。多くの方に支えられて、すてきな思い出と、たくさんの自信とともに笑顔で帰ってくることができました。

~日記より~
・大自然の草のにおいの中で食べたカレーは、今まで食べたカレーの中で一番好きな味でした。 
・虫は自然の一部で大切なそんざいだということがわかりました。
・いっち団結して味わい深い特別なカレーができあがりました。
・4年ピックがすごく楽しかったから、一しゅんで終わったように感じました。

5年生のキャンプ目標
~「たのしみ」を創りだしましょう~

 学校行事として初めて3泊を経験する5年生。「たのしみを創りだしましょう」というキャンプ目標に向かって、どうしたらみんながたのしめるのか考えながら、それぞれの係やキャビンで張り切って準備をしている姿がありました。
 初日の「バスレク」「キャビンピック」から始まり、2日目の「野外炊事」、3日目の「キャンプファイヤー」などのレクリエーションでは、企画から司会や進行の全てを自分たちで行いました。学校での事前準備の成果を発揮し、みんなで協力したり盛り上げたりしながら「たのしみを創りだす」ことができました。
 また、軽井沢ならではの自然体験からも、多くの学びを得ました。ピッキオの森でのナイトハイクでは、都会ではなかなか味わうことのできない静寂の中で、真っ暗闇の森の中を歩きました。月光だけが闇を照らす中、静かに耳をそばだてると、すぐ近くで生きている動物たちの息づかいが聞こえてきそうでした。池の上の虫を捕食している野生のコウモリの姿も目にすることができました。
 3日目はあいにくの雨天の中、浅間山麓国際自然学校にうかがい、地球の構造や地震や火山のメカニズムについて学びました。山の上では17℃で、雲に包まれ視界は真っ白。珍しい自然現象も体験することができました。3泊4日を共に過ごせば、子どもたちの間には、時として意見の食いちがいや誤解から、争いが生じることもあります。そういう時こそ、「自分と同じように、人を大切にする」ということに立ち返り、「たのしみを創りだす」「人によりそう」とはどういうことなのかを考えるチャンスにもなりました。人と共に生きることは、楽しいだけでなく、難しいこともあります。そこで味わう葛藤や、深く考える経験こそがキャンプの宝物。一つひとつの体験が、これからの人生の糧になることを願っています。

6年生のキャンプ目標
~「たのしみ」を人に与えましょう~

 6年生といっても、キャンプの経験は2回目。いつもは、「3年生のとき、6年生のお姉さんはどんなことをしてくれただろうか。」とか「うれしかったことはどんなこと?」など、振り返りながらキャンプ準備を進めるのですが、その経験がないため、想像力をはたらかせなくてはなりません。たのしかった5年生の時のキャンプの経験を手掛かりに、「3年生のために、自分は何ができるか。」と、問い続ける日々でした。
 キャンプ準備は、3年生のしおりに挟みこむ、リーフレットづくりから始まりました。「3年生は、どんなことを知りたいと思っているだろう。」「どんな情報があったら役立つだろうか。」と、3年生という相手を意識しながらの活動でした。軽井沢の自然のすばらしさやキャンプ場についての情報、荷物のまとめ方のポイントなど、それぞれのグループの工夫が光る、とっておきのリーフレットができました。出来上がったしおりを興味深そうに読む3年生を、うれしそうに見つめる姿がありました。
 学校で少しずつ準備をすすめていたキャビン紹介。始めは、お互い緊張してしまい、なかなか話し合いが進まなかったことを懐かしく思うほど、キャビンのメンバー同士の距離がだんだんと近づいていきました。本番は、キャビンごとのさまざまな表現を存分にたのしむことができました。
 いつも「3年生のために」と考えることは、時にはプレッシャーに感じることもあったかもしれませんが、それ以上に、3年生の笑顔にかけがえのない喜びを感じることができたようです。「歌の交歓」では、3年生の明るく澄んだ歌声に感動し、6年生も思いを込めて歌を届けました。学校でまたすぐに会えるけれど、涙ありのお別れとなりました。3年生とのよい出会いを経験し、あたたかい気持ちを味わうキャンプとなりました。