憧れのさきに
上川 恵
「憧れるのをやめましょう。」これはご存知の通り、2023年のWBC決勝前に、大谷翔平選手がチームメイトを鼓舞するために放った言葉です。「憧れていては、超えられないから。」選手たちを一瞬で一つにした、魔法の言葉でした。
子どもの成長には、「憧れ」という感情が大きく関わっています。一歳に満たない赤ちゃんでも、大人の姿を見て歩くことを覚えたり、言葉を覚えたり、電話をかける真似をしたりします。元々備わった本能もありますが、同じようにやってみたいという思いと、大人が褒めてくれたという経験が、赤ちゃんの「できた」を増やしていきます。少し大きくなると、プリンセスやアニメの登場人物、アイドルなど、憧れの対象が身近な大人から別の方向へと広がっていきます。さらに成長すると、現実的な対象へと移っていきます。本校の子どもたちに憧れの人を聞いてみると、パートナーの6年生、キャンプで優しくしてくれた6年生、クラブで一緒の上級生、ドッジボールが強いクラスメイト、面白くて勉強ができるクラスメイト、習い事で一緒のお姉さん……と、自分の身近にいる人を挙げることが多いようです。
憧れの対象がすぐ手の届くところにあるとき、子ども達の心の中に「追いつきたい」「超えたい」という気持ちが生まれます。そして自分と比較し始めます。比較ばかりするようになると、憧れは、嫉妬やひがみ、ねたみといった感情へと変わってしまうことがあります。「〇〇さんはいいな」「〇〇さんばかり」「どうして私は……」そんな思いが強くなっていくと、子どもは心の中で苦しさを抱えてしまいます。もしも自分の子がそのような状況になっていたら、親も同じ気持ちに引きずられてしまわないようにしたいものです。子どもの感じている思いに寄り添いながらも、比べる視点だけにとらわれない声かけをお願いします。
憧れのその先は何があるでしょう。誰かと比べて、ひとりよがりな勝ち負けに一喜一憂するような生き方をずっと続けますか?下級生たちの憧れを背負ってきた6年生は、4月から中学校という新しいステージが始まります。一番大きい上級生から一番小さな下級生になって、みんなから「かわいい」と言われる存在になります。これから出会う先輩たちの中から、目標としたい憧れの人が現れるかもしれません。憧れて大きくなって、憧れられる存在になって、また憧れの人と出会って……そんな繰り返しの中で成長していく子どもたちの憧れの先には、どんな景色が広がるのでしょう。一緒に眺めてみたいです。
6年生 かのーちゃん先生の特別授業
3年生からスタートした「体と心と命の学習」も、6年生になると様々な価値観に触れ、より深いことを学習します。保健の時間では、できるだけ体験することや考えることを大切にしてきました。授業後の感想文からは、子どもたちが多くのことを学んでくれたことがよく伝わりました。
6年生の学習では、ゲストスピーカーをお招きしています。3回目の授業には、昨年に引き続き加納孝広さん(かのーちゃん先生)にお越しいただきました。加納さんはゲイのセクシュアリティをおもちです。図書館で円になりながら、アットホームな雰囲気の中でお話を伺いました。ご自身の経験談や、子どもたちからのざっくばらんな質問にも答えていただき、良い意味で「私たちと同じだ」と感じることができたようです。加納さんは「同じゲイでもいろいろな人がいるし、今回学んだことだけが正解ではない。」ともお話しされました。「実際に自分で見て、感じて、触れて、自分の価値観を育ててください。」と繰り返し語られたその言葉からは、性の多様性だけにとどまらない、人生における大切な教えを受け取ったのではないかと思います。
クラブ交流試合
サッカークラブ
2月28日、サッカークラブは毎年恒例で行われている私学4校交流戦に出場しました。6年生にとっては最後の試合になります。秋の私学体育発表会以降、チーム全員のポジションを見て自分の位置や動き方を意識することや、人と人の間の「線」を見つけてボールを大切に運ぶことを徹底的に練習してきました。相手チームの動きにまどわされないで、「自分たちがやってきたサッカー」をしようと考えて臨みました。
結果としては、1勝2引き分け、負けなしでしたが2位。最終試合で「勝てば優勝」だったのですが、2-0から同点に追いつかれ、惜しいことに残り1分で優勝を逃してしまいました。この悔しさは来年のチームに引き継がれ、現5年生が再び優勝を目指すチームづくりのパワーに変えていきます。
バドミントンクラブ
2月末、バドミントンクラブは、会場校の啓明学園を含む5校で交流試合を行いました。ふわっと空中に高く上がったシャトルが次の瞬間、パシッという音ともに鋭く飛び交う様は、11月の私学体育発表会の時にはなかなか見られない光景でもありました。11月末から約3か月、この大会に向けて一生懸命ペア練習を重ね、声を掛け合うことで互いの動きを感じられるまでになりました。3つの予選グループリーグの上位2ペアだけが出場できる決勝リーグに4ペア中3つが駒を進め、準優勝を飾る活躍をおさめました。諦めずに最後までシャトルを追いかけ、ラケットを振りぬく選手たちに精一杯の声援を送る子どもたち。その横顔には、またこの大会に戻ってくるときには必ずもっと成長してくるぞという、自分自身のへの期待と決意が見え、子どもたちの成長する力強さを感じられたひとときとなりました。
6年生のお姉さん、ありがとう!
1年生図工の授業終わりに「次の授業でお姉さんになにか作ってあげたい。」と、ひとりの子が言うと「いいね、いいね!」と賛同の声が上がりました。お姉さんに似合うお花のコサージュにするために、好きな色を想像しながら色紙を約30枚選びました。その紙を花びらの形に切って配色を考えながら貼り合わせていきました。6年生が喜んでくれるように、丁寧に仕上げました。
入学してからパートナーのお姉さんが優しく接してくれたり、休み時間に遊んでくれたりと、積み重ねてきた思い出を感謝の気持ちに代えて、お花を贈ることができました。