答えのない問い

教頭 上川 恵

「知識を覚える教育」から「考える教育」へ転換したのは、2020年に改訂された現在の学習指導要領からです。「主体的・対話的で深い学び」「思考力・判断力・表現力」「探究的な学習」といったキーワードは、すでに保護者の方々にも定着しているのではないでしょうか。「何を知っているか」「どれだけ正確に答えられるか」よりも、「どう考えたか」「なぜそう考えたか」「考えを言葉にできるか」が、これからの多様で不透明な社会を生きる子どもたちに必要な力と考えられています。ディベート力やプレゼン力、交渉術、論破術などが注目された時代からの変化を感じます。
 これらの力を育むために、「哲学対話」という手法が近年学校現場で取り入れられるようになりました。哲学対話とは、設定した問いに対して複数人がお互いの考えを話し合い、問いに対する根本的な理解を深めていく行為です(Weblio辞書)。つまり、結論を出すのではなく、対話を通して他者の意見に耳を傾け、違いを尊重しながら自分の考えをさらに深めていくのです。哲学対話を行う際には、誰もが自由に意見を言える環境を整えるために、いくつか約束事があります。その一例を紹介します。
・何を言ってもいい
・人の言うことに対して否定的な態度をとらない
・相手を説得しない
・ただ聞いているだけもいい
・知識ではなく、自分の経験に即して話す
・意見が変わってもいい
 内閣府は、日本が目指す未来社会をSociety5.0「フィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」と発表しています。また、このような社会を支える人材は、自ら課題を発見し解決手法を模索する人であると述べ、さらにその能力・資質は、探究的な活動を通じて身につく、とも述べています。この未来を支えるのが、15〜20年後に社会人となる今の小学生です。
 世の中には、いわゆる子育て成功者が書いたノウハウ書や、研究者による手引き書がたくさん出ています。しかしそれを参考にしたからといって、必ずしも優秀な子どもに育つわけではありません。子どもの個性は千差万別ですし、ご家庭の方針も様々です。子育てに正解はありませんし、近道もありません。それこそ答えのない問いに向かう根気が必要な務めです。哲学対話のマインドを持って、ゆっくりじっくり根気強く、未来を担う大切な子どもたちをみんなで一緒に育てていきましょう。

新一年生歓迎セレモニー

 来春入学予定の新一年生が、健康診断のために来校しました。現一年生は、歌とカードに歓迎の気持ちを込めてプレゼントしました。
 準備の時、もうすぐ新一年生に会えることを伝えると、一年生は、にこにこ顔。「一年前にもらったカードはこうだった。」とうれしそうに話し始めました。手作りのカードには、自分の似顔絵と自分で育てたアサガオからとった種をつけました。
 本番の日は、朝からそわそわ。プレゼントの歌は、「アーメン ハレルヤ」と「ミックスジュース」。大きな口を開けて楽しそうに歌っている姿が、なんとも愛らしかったです。次の一年生にも、立教女学院小学校を大好きになって欲しいと強く思っていることが伝わってきました。最後に手作りのカードを渡し終えると、一年生の顔は、ぐんとお姉さんになったように見えました。

絵日記より

・きょうは、しん一年生がくるから、ピシッとしました。れいはいどうにつくと、わたしのしんぞうがどきどきして、とまりませんでした。わたしは、にこにこしてうたいました。こころの中で、(みなさんこれからよろしくおねがいします。)とおもいました。
・きょう、しん一年生にうたのプレゼントをしました。かしをまちがえないか、ドキドキしました。二年生になったら、やさしい二年生になりたいです。
・あさがおのたねをつけたカードをじゅんびしました。カードをわたしたしん一年生はかわいくて、タッチをしたときの手が小さくてびっくりしました。
・しん一年生は、みんな、かみがかわいくむすばれていて、すてきだなとおもいました。カードをわたした子に「さっきのうた、じょうずだね。」といってもらえてうれしかったです。

芸術鑑賞教室

 今年度の芸術鑑賞会は、東京都交響楽団(都響)のメンバーをお招きして、金管五重奏の調べを味わいました。トランペット2本・ホルン・トロンボーン・チューバ、5つの楽器の奏でる豊かなハーモニーが新年の礼拝堂に響きました。『ドラゴンクエスト序曲』から始まった演奏会。最初のフレーズで一気に華やかな雰囲気が広がります。リズミカルでウキウキするような音楽に、思わず体が動き出してしまう子どもたち。運動会でおなじみの『草競馬』『トランペット吹きの休日』や、子どもたちにも大人気のディズニーやジブリの曲などが演奏されると、顔を見合わせてうれしそうに微笑みあっている様子がたくさん見られました。演奏の中で、各楽器の特徴が工夫して表現され、トランペットから馬の鳴き声がしたり、トロンボーンからはのんびり怠け者のあくびの音がしたり。目の前の楽器から聞こえる様々な音色に、子どもたちはどんどん引き込まれていきました。ライブでの音楽鑑賞は、耳だけではなくからだ全体で音を味わえることが最大の魅力でもあります。演奏者たちの楽しそうなアイコンタクト、楽器から発せられる音による空気の振動や会場の一体感など、その瞬間にしか得られない「音」を全校で共有できたことはとても有意義なことでした。「わたしもやってみたい」「もっと他の曲も聞きたい」と子どもたちの興味の扉も大きく開かれ、楽しいひと時を持てたことに感謝しています。

・すごくすごくすごかったです。目のまえのチューバの音がむねにドンときました。
・ホルンやチューバは、めいろのようにくねくね曲がっているデザインで、ふいたときの音にかんけいしているのかなと、そうぞうがふくらむようなとくちょうがありました。
・礼拝堂にいる全員が一つになったようだった。音が鳴り出すだけでみんなが一つになれるなんて、音楽のパワーはすごいと改めて感じた。
・チームワークによって深みのある音が作られるのだと思った。面白い音から上品な音まで、たくさんの種類の音が1つの楽器から出せる工夫がすごいと思った。
・5人の演奏なのに、もっと大人数で演奏しているかのような迫力と広がりがあった。キラキラ光る楽器からキラキラ輝く音が出てきて、異次元の世界みたいだった。

英語de和菓子

 先日、5年生の英語の授業の一環で講師の先生をお招きして、和菓子作りの体験をしました。まず和菓子の歴史や日本の文化について、英語に時々日本語を交えてお話をいただいた後に、先生の実演がありました。その後一人ひとつずつ練り切りのお菓子を作り、菓銘を考え写真を撮りました。柔らかな練り切りを掌に乗せて成形する工程では、気をつけなければいけないことがたくさん。掌はいつもしっとりさせていること、指先に力を入れすぎないことなどを頭で考えつつ、思い描いた和菓子を形にしていくことを楽しむことができたようです。
 お話しいただいたことの中には、和菓子の原料は主に植物由来のもので、ベジタリアンやビーガンの方にも美味しく食べてもらえることなど、自分の国のことでも知らないことがたくさんありました。今回の経験と学びが母国の歴史や文化への興味関心に繋がると同時に、いつか誰かに伝えたい、分かち合いたいという気持ちを育むきっかけになるといいなと思っています。

児童の感想より

・同じ練り切りでも作る人によって、たく山のちがいが出ることにおどろきました。
・先生が作ったのと同じのを作ろうと思ったけれどうまくいかなくて、ちがうもようにしたらうまくできた。ほかの人の和菓子も、それぞれ個性があってみんな良かった。
・私が考えた練り切りの名前は梅雨です。もようを作る工程の時、上から下へわりばしでスライドさせるようにしました。その形がしずくのようで、色も梅のようなきれいな色だったのでこの名前にしました。
・私は練り切りの名前を「和(なごみ)」にしました。うすもも色があわくついて、丸くおちついたような感じにぴったりだと思ったからです。名前を付けると、愛着がわいて、より大切にしたい気持ちが強くなりました。
・食べてみると、練り切りのあの甘さと柔らかさが口の中に広がって、とても幸せな気持ちになりました。
・ふだんあまり和菓子を食べないのですが、この和菓子作りを通して、和菓子に興味をもちました。そして、外国の人と異文化交流をしてみたいと思いました

宗教委員会「きょうかい探訪隊」

「日曜日は教会へ」。そう言われても、馴染みがないと「そもそも教会ってどんな雰囲気?」と身構えてしまうことはありませんか? 重厚な扉の向こう側は外からはなかなか見えませんし、一歩踏み込むには勇気がいるものです。そんな戸惑いを払拭し、教会の良さを知ってもらうために、宗教委員会が「きょうかい探訪隊」として立ち上がりました!
 昨年度の「聖アンデレ教会」に引き続き、今年度は日本聖公会東京教区にある35の教会・礼拝堂の中から、くじ引きで「八王子復活教会」を訪問することになりました。
 実際に日曜礼拝(聖餐式)にあずかり、パンフレットなどの情報だけでは分からない「教会の雰囲気」を肌で感じてきました。また、聖職や信徒の方々へのインタビュー内容とあわせて、「静かで心が落ち着く場所」「誰でも温かく迎えてくれた」など、探訪隊が現地で触れた「教会の温もり」をありのままに伝えるため、探訪記としてまとめました。今回の探訪記は、本学院のキリスト教センターが発行している「チャペルニュース(146号・2026年3月配布予定)」に掲載されます。
 お住まいの町にも素敵な教会があります。探訪隊の活動が、その扉を少しだけ軽くする「鍵」になれば幸いです。どうぞ日曜日は教会へ。