ことばを食べる

校長 児玉 純

 5月というのに、真夏を思わせる日が続きました。夏本番を迎えるとどんな気候になるのか、考えるだけでも気が滅入ってきます。そんな中、想定外の寒い日になりましたが、今年もプレーデーを行うことができました。立教小学校の720名と一緒に行うこの行事は、普段とは違う楽しさ、高揚感を味わうことができる貴重な経験になります。様々なところで、会場校としてご協力くださった保護者の皆様に、心から感謝します。

 先日参加した研修会で、「ことば」についてのお話を聞くことができました。講師の先生がお話しくださったのは、子どもは「ことばを覚える」のではなく、「ことばを食べる」ということでした。「食べる」という表現に、はじめは違和感がありました。でも、良いことばを食べることによって子どもは健全に成長するということを聞いて、何となくイメージが掴めました。「私たちは、子どもにおいしいことばを食べさせているのだろうか。」そんな問いが私の中に生まれた研修会になりました。
 良いことばを食べさせるには普段の大人の言葉遣いも大切ですが、「読み聞かせ」も、とても良い機会ではないかと思います。それは、小学生の読み聞かせには特別な意味があるからです。単に読書スキルを上げたり語彙を増やしたりするためではなく、子どもの心と知性を豊かに育み、親子の絆を深めるかけがえのない時間になります。小学校低学年のうちは、自分で文字を読めるようになっても文字を追うことに必死になり、物語を深く味わう余裕がないことも少なくありません。大人が読んであげることで、子どもは文字を解読する必要がなくなります。耳から入る心地よい声を通して、頭の中に生き生きとした情景を思い描き、純粋に物語の世界に浸ることができます。この「本は楽しい」という記憶が、生涯にわたる読書習慣の土台となります。中学年になると、心の機微や複雑なストーリーを理解できるようになります。しかし、そうした内容の本は文字が小さく漢字も増えるため、自ら手に取るハードルが高くなりがちです。ここで読み聞かせが大きな力を発揮します。少し難易度の高い物語や、科学、歴史など、普段なら選ばないジャンルであっても大人の声を通せばすっと心に入っていきます。自分とは異なる立場の登場人物に共感する力や、未知の世界への知的好奇心を大きく広げる絶好のチャンスになります。
 では、高学年の読み聞かせはどうでしょうか。少しハードルが高いように感じますが、思春期に入り、親との直接的な会話やスキンシップが減ったとしても、同じ空間で同じ物語を共有する時間は、子どもに深い安心感を与えます。絵本に限らず、短い小説や興味深いニュース記事などを「これ面白かったよ。」と対等な立場でシェアすることで、自然な形で価値観を分かち合うことができます。子どもが本を持ってきた時や、大人が面白い本を見つけた時がチャンスです。感想を求めたり無理強いしたりせず、あくまでもさりげなく、ただ一緒に物語を楽しむだけで十分です。
 本校では、「お話勉強会ピッピ」の皆さんが、工夫して読み聞かせをしてくださいます。低学年の参加者が多いのですが、中学年や高学年向きのお話も準備されています。また、礼拝の聖書朗読は、6年生が全校児童に語りかける聖書の読み聞かせの時間とも考えられます。聖書のことばはまさにいのちのことばです。
 絵本や聖書から、子どもたちが良いことばをたっぷり食べて、体の中に豊かに蓄えていってほしいと思います。みんなが忙しく過ごす「タイパ」「コスパ」の時代だからこそ、ゆったりしたことばのやりとりの時間を大切にしたいものです。

2年生 はたらく消防の写生会

 曇り空でしたが、暑すぎずちょうどよい天候のもと、「はたらく消防の写生会」が行われました。正門ロータリーに大きなポンプ車が一台とまり、その周りに集まった2年生は、思い思いの角度から写生を始めました。いつも使うよりも大きなサイズの画用紙を目の前に、真っ赤なポンプ車を画面いっぱいに表現することは難しく、なかなか筆(クレパス)は進みません。ああでもないこうでもないと迷いながら、ようやく描く線が決まっていきます。
「私たちのために、こんなにたくさんの消防士さんとポンプ車が来てくれたんだ。」という声が聞こえてきました。写生をしている2年生を見守りながら、消防士の方がいろいろな質問に答えてくださいました。防火服を着てモデルになってくださった方もいて、子どもたちの絵の中にホースを持った消防士さんが加わると、とたんに絵がいきいきとしました。
 ポンプ車の形をとらえられると、次は色塗りです。濃くしっかり塗ることを目標にすると、赤いクレパスがなくなってしまうほどでした。子どもたちは指先を真っ赤に染めながら、でき上がった作品に満足している様子でした。
 迫力のある大きなポンプ車を観察しながら、消防士の方々に「火事を防ぐこと」の大切さも教えていただく時間は貴重な経験となりました。

5年生春のスタディツアー 茨城県常陸太田市金砂郷

 さわやかな気候の中、5年生は金砂郷へ行ってきました。バスからは昨年登った筑波山も見え、一面に広がる田んぼの景色に、田植えへの期待が高まっていきました。
 1日目は田植え体験です。田んぼに入る最初の一歩になかなか勇気が出ず、しばしかたまっていましたが、いざ入ってみると、「温かくて気持ちいい!」「ずっと入っていたいな。」と笑顔があふれました。苗をまっすぐ植えられるように、横を見て、縦も見て、自分の足も取られないように……慎重に苗を植えていきます。時々自分の植えた苗を振り返っては、「まだこれしか進んでないのか。」「こんなに田植えって大変なんだ。」と、田植えの大変さも実感したようです。金砂の方々との交流会では、田植えをやりきったほっとした表情で、質問したりお話をしたり、とても楽しいひと時を過ごすことができました。
 2日目は奥久慈茶の里公園で、茶摘み体験をさせていただきました。一芯二葉の茶摘みのやり方を教わり、自分の納得のいく茶葉をていねいに摘み取っていました。最初はいろいろな茶葉に目移りしてしまい、茶葉を見極めるのに苦労していました。しかし、だんだん目が慣れてくると、摘み取るスピードもあがり、最後はビニールいっぱいの茶葉を持ち帰ることができました。選りすぐりの茶葉を、大切そうにかごに入れる様子が印象的でした。
 自然豊かな茨城の里山に癒され、金砂の多くの方々の温かさに触れながら、すばらしい体験をすることのできた2日間でした。

日記より

・田植えは、最初泥の中に入るのにものすごく勇気が必要だったけれど、おもいっきり「えい!」と入ったら、思っていた以上に気持ちよくてびっくりしました。
・田植えでは、苗を植える深さがどれくらいか難しく、植え方は合っているかなと心配になる時もありました。私は心の中で、1、2、1、2とかけ声をかけてリズムよく植えました。
・茶摘みでは、一芯二葉を意識すると、茶葉を見つけるのが大変でした。でも、かわいくてきれいな茶葉があると、とてもうれしくなりました。
・茶摘みが終わって、家に帰ってから天ぷらにしました。サクサクですごくおいしかったです。まだ茶葉が半分くらい残っているので、他の料理も作ってみたいと思います。

プレーデーの裏で

 前日まで、天気が心配されましたが、今年も無事に立教小学校との合同プレーデーを行うことができました。両校の子どもたちの温かな交流の時間の裏には、行事を支える多くの働きがありました。
 5月から本格的に活動が始まった、代表委員会。最初に話し合った内容は、「プレーデーで私たちにできること」でした。来てくださる立教小学校の方々や応援してくださる保護者の方々のためにできることはないか、意見を出し合いました。話し合いの結果、3つの取り組みに決まりました。1つ目は看板作り。みんなで記念写真を撮れるように華やかな看板に仕上げました。2つ目はフォトプロップス作り。昨年度に引き続き行われたこの取り組みでは、立教小学校の方も喜んでくださるようなデザインを考えて準備をしました。3つ目は当日のあいさつ運動。学校の代表として、来てくださる方に気持ちを届けようと一生懸命声を出しました。どの活動も当日までの休み時間を使って準備を進め、当日はたくさんの方に喜んでいただくことができました。
 また、当日はお父さん方も大活躍でした。子どもたちが座る各クラスのブルーシート敷きや、駅までの交通整理、プレーデー終了後には、食堂やチャペルのお掃除もしてくださいました。
 私たちが無事にプレーデーで行うことができたのは多くの方のお支えがあったからです。みんなで作り上げたプレーデーを、無事に行うことができたことに感謝いたします。