違う自分
教頭 上川 恵
創立150周年のロゴにもあしらわれているように、立教女学院といえば藤の花を連想するほど、キャンパスには藤棚がいくつもあり、今年も美しく咲いてくれました。甘い香りを楽しむのは私たちだけではありません。藤棚に近づくと、まるでドローンのような大きな羽音をさせた、黒くてずんぐりとしたクマバチが、ホバリングをしながら蜜を探しています。藤の花は奥にたっぷり蜜があり、クマバチにとっては重要なエネルギー源です。特に春は活動が活発になる時期なので、花がたくさんまとまって咲く藤は、効率よく蜜がとれる人気の食事スポットのようです。また、メスは花粉を集めて、巣の中で幼虫のエサにします。やはり、短時間で多くの花粉を集められるので、人気の収穫スポットとも言えます。
一年生の教室の窓を開けていると、時々クマバチが入ってくることがあります。黒くて大きくて、羽音も大きなクマバチに驚いて、子どもたちは声をあげて怖がるのですが、クマバチの性格は温厚で、手でつかんだり強く叩いたりしない限り、刺すことはないそうです。ちなみに、ハチの中で針を持っているのはメスだけです。
野生の藤の花を初めて見たのは、軽井沢の森の中でした。学校で見るものとはまるで違う、生命力あふれた力強い姿でした。藤は元々、山林や川沿い、林のふちなどに自生し、日当たりのよい場所を好みます。近くの木の枝に絡みついたツルはぐんぐんと伸びて太くなり、やがてジャングルのようになります。藤に絡まれた木は、幹が圧迫されダメージを受けます。重みで倒れることもありますし、上の方まで覆われてしまうと、光合成ができなくなって成長が止まり、弱っていきます。見た目は美しい藤の花ですが、その生態はなかなかのたくましさです。
藤の生態がこのようである事を知ったのは、ずいぶん昔、学院の藤棚を整備している庭師さんが教えてくださったからです。うかがった時は、キリスト教の女子校である本学院のシンボル的な花が、藤で良いのかしら?と思いましたが、たくましさという点では本校にぴったりかもしれない、とも思いました。
藤に二面性があるように、人にも色々な顔があります。いわゆる良い子で頑張ってきた子でも、野生の藤のように自由に生きてみたいという気持ちが湧いてくることもあるでしょう。内気だった子が、自分の力を試してみたいと思うこともあるでしょう。学年の変わり目は、新しい自分に変わるちょうど良い区切りです。もしも子どもが今までと違う顔をのぞかせたとしたら、まずは何も言わずにそっと見守ってあげるのも一つです。特に思春期の子どもにとって、何も言わないでいてくれることほどありがたいことはありません。お父様お母様もそんな経験はありませんでしたか?
≪ 1年生の4月 ≫
春の日差しの中、72名の1年生が入学し「はじめての立教女学院」での毎日を過ごしています。6年生のお姉さんとの手作りの名刺交換、全校で迎えるイースター礼拝とお茶の会、井の頭公園への歓迎遠足、そして給食。期待と不安が入り混じる様子もありますが、新しい世界に目を輝かせながら小学校生活を楽しんでいる様子をお届けします。
≪ 新しいイースターカードのご紹介 ≫
主のよみがえりは、芽吹きの時を待つ草花にたとえられます。一度は終わってしまう命も、春になるともう一度その命を輝かせてくれます。立教女学院は、そのような命の巡りを感じることができる場所です。「キャンパスに咲く植物の写真を使ったイースターカードがあったら素敵だよね。」そんな思いからプロジェクトが始まりました。
ハナミズキ・ヤマブキ・スズラン・クリスマスローズ・ドウダンツツジ・フジを撮影したのは1年前の春のこと。立教女学院らしく、毎年春に必ず咲き、小学生も親しみをもてる植物としてこの6種を選びました。イースターに関連する聖句や聖歌の歌詞も新たにし、学校のシンボルマークとロゴタイプも配置しました。飾りたくなるような素敵なカードにしたいという思いで心を込めて作りましたので、6年間大切に集めていただけるとうれしいです。カードの植物たちは4月から5月にかけてキャンパスを美しく彩っていますので、ご来校の際にはぜひご覧ください。