メダル?そんなものいらない

校長 児玉 純

 2025年度も残すところ数週間となりました。今年に入って本校でもインフルエンザが大暴れ、学年閉鎖や学級閉鎖が相次ぎました。ドッジボール大会、学年発表会、クラブ発表会など欠席者が多い中で行った行事もありました。皆様の健康が一日も早く快復するようお祈りします。

 冬季オリンピックが先日閉幕しました。今回のオリンピックでも様々なドラマが生まれました。選手達は4年間、それこそ血のにじむような努力をして国内予選や標準記録と戦いながらこの日を迎えたわけです。思い通りの演技ができた歓喜や思わぬ失敗に流す涙など、私たち経験しない者には想像もできない世界だと思います。すべての選手の努力と勇気に敬意と賞賛を送りたいと思います。その中でも特に気になった選手がいます。女子フィギュアスケートのアメリカ代表アリサ・リウ選手です。彼女はSPで日本人選手に次ぐ3位の成績でした。日刊スポーツの記事によると、金メダルへの可能性を聞かれた彼女は、「勝つかどうかは目標ではありません。私の目標はただ自分のプログラムをやり遂げて、自分の物語を共有することです。」と、答えました。ほかの記事では、「メダル?そんなものいらない。ただ、ここに存在するだけでいい。次に何をするのかを見てもらいたいです。」とも言っています。これは、「参加することに意義がある。」というオリンピック精神そのものではないでしょうか。そんな彼女は、日本人選手を飛び越して金メダルを獲得しましたが、スケートそのものを楽しむ姿に多くの人が感動しました。もちろんスポーツですから勝利を目指すことは大切です。でも、本当に大切なのは、そこを目指して努力することだということを改めて教えてくれた選手だと思います。これはスポーツに限りません。立教女学院小学校の子ども達には、様々なことに努力できる子、また、その努力をしている人を応援し、リスペクトできるようになってほしい(もちろん自分を含めて)と願っています。6日からパラリンピックが始まります。出場する選手の思いや願い、これまでの努力を想像しながら、応援したいと思います。
 この一年を振り返ってみますと、いろいろな場面での子ども達のキラキラした姿や笑顔が思い出されます。「何事もなく、いいことばかりだった。」ということはないかもしれません。でも、一人ひとりが失敗や挫折を乗り越えたからこそ、子ども達の輝きは光を増したのではないかと思います。一回りも二回りも大きく成長した子ども達に心から拍手を送りたいと思います。
 最後になりましたが、3月20日は卒業式です。6年生72名が、夢と希望に胸をふくらませ、小学校を巣立って行きます。6年生の門出を祝福するとともに、中学での活躍を祈り、見守っていただけましたら幸いです。

≪ 5年生 狂言鑑賞会 ≫

 1月末、5年生は狂言鑑賞をするため杉並能楽堂を訪れました。屋根のある能舞台が室内に建てられ、自然光を舞台照明としている珍しいものです。子どもたちは、「こんな住宅の中に能舞台があるなんて信じられない。」と驚きの様子。照明や大道具などはなく、約5.4m四方の舞台で、台詞と仕草だけで狂言が演じられます。
 今回は『柿山伏』と『附子』を見せていただきました。登場するカラスや猿の鳴き声からは、現代との違いをたのしむことができました。また、附子で「桶」として使われていた物が柿山伏では「木」に見立てられるなど、工夫された表現を目の当たりにしました。鑑賞後は、狂言師の方に笑い方や泣き方を教えていただきました。
 最後に、人間国宝である山本東次郎氏による講演と、舞を見せていただきました。東次郎氏は「狂言は、いつの世も変わらない人間のおろかしさを責め立てるのではなく、演じることで、お客様に共感してもらって人間っていいよね、と思ってもらえるように作られています。お客様の豊かな想像力にお任せして舞台を楽しんでもらうのは、現代の舞台と違うところです。言葉は魂を宿し、発したら取り返しのつかないものだから、一言一句ゆっくりと大事に話しているのです。」と話してくださいました。日本が大事にしてきた価値観の変容を危惧しつつも、後世に生きる子どもたちに、狂言という伝統文化を通して、思いを伝えていらっしゃるのだと感じました。子どもたちも東次郎氏の言葉に耳を傾け、静かにじっくりと「今」を見つめなおす機会となりました。

 

~~~ 児童の感想より ~~~

・自分の使う言葉ももっとちゃんと選んで大事にしようと思った。
・「人間のみにくいところ」は、自分にも当てはまるなと思った。
・実際に体験してみると、すごく難しくて長い年月練習してきたからこそのものなのだと分かった。「継続は力なり」とはこのことだと感じた。
・山本東次郎さんのお話は今の世界と向き合う人の話で、心に深く刺さった。

≪ 3年生 社会科見学・江戸東京たてもの園 ≫

 冬の冷たい空気が澄みわたる中、3年生は江戸東京たてもの園に行きました。社会科で昔のくらしについての学習を始めたところで、昔の道具はどのようなものだったのか、どんな家でくらしていたのだろうかと思いを馳せながら見学をしました。
 江戸東京たてもの園は、東京都の縮図のようなつくりになっており、西側には農家、中央は住宅、東側には下町エリアが広がっています。下町エリアでは、お買い物の体験ゲームをしました。6人グループで籠と『たてもの円』というお金を持って、いざ出発!お買い物メモに書かれている商品がどのお店で売られているのかを考え、地図をたよりにお店を探しに行きます。6つのお店をめぐり、それぞれのお店の方から「昔、お醤油は量り売りだったんだよ。」とか「和傘は紙から作られていたんだよ。」などのお話を聞き、驚きや発見がありました。午後は、3人グループで自由に見学をしました。昔ながらの銭湯や路面電車、もう一度ゆっくり見たかった建物を訪れました。美しい青空のもと、静かにたたずむ建物には見どころがいっぱいで、あっという間に時間が過ぎていきました。家族や友だちと一緒にもう一度訪れたいと思わせるほど魅力的な場所でした。

~~~ 児童の感想より ~~~

・天井が丸太だらけで、家を作るのがむずかしそうだなぁと思いました。
・へちまをスポンジがわりに使っていてびっくりした。
・ラップではなく、木をうすく切ったもので食材をくるんでいて、昔のほうが地球にやさしかったのかもしれないと思いました。

 

≪ 親子で自然を楽しむ会 ≫

 東京私立初等学校協会には、教員の資質向上と教育の実践研究を目的として各教科の研究部が設置されており、教科によっては「児童実技研修会」として、児童が参加するイベントを企画しています。例年11月23日に行われている体育発表会もその一つです。それと同様に、理科部会が企画している自然観察会が「親子で自然を楽しむ会」です。この会は30年以上前から続けられています。
 「親子で自然を楽しむ会」では年間4回のイベントを行っています。まず5月には、府中の浅間山公園にて、江戸時代から変わらぬ姿を残す武蔵野の里山を観察します。参加者は地図を手に、公園内を家族ごとに自由に散策します。この時期はキンランやギンラン、そしてこの場所の固有種であるムサシノキスゲなどが観察できます。

 10月には、多摩川の河川敷にて植物・昆虫の観察と岩石・化石の採取を行っています。河原は、都内でも人間の手があまり入っていない貴重なフィールドなのです。
 11月には、幕張の海岸で貝化石の採取を行っています。この海岸では、現在は生息していない様々な年代の貝の化石を拾うことができ、運が良いとカニの化石を見つけることもできます。

 そして2月には、上野の不忍池にてカモを中心とした水鳥を観察します。参加者は事前に配布された水鳥の塗り絵を手に、家族ごとに池を散策します。
 ただし、今年度は、残念なことに東京都から「インフルエンザ流行警報」が発令されたため、中止の判断を下さざるを得ませんでした。そこで、少しでも野鳥観察の雰囲気を感じていただければと、実行委員が不忍池にて動画を撮影いたしました。「親子で自然を楽しむ会」のホームページにて公開しておりますので、ご興味がある方はご視聴いただけますと幸いです。
 これからも理科部会では、学校の垣根を越えて、私学全体の教育のために活動していきたいと考えています。