寄り道

教頭  上川 恵

 「あめふりくまの子」(作詞:鶴見正夫、作曲:湯山昭)という童謡は、季節の歌として幼稚園で梅雨の時期によく歌われます。1番から5番まであり、絵本のページを一枚ずつめくっていくように、ストーリー仕立てになっています。歌詞の特徴としてあげられるのは、丁寧語(ですます体)で書かれているという点です。出だしの「やま」という言葉は「おやま」と表現しています。語りかけるような優しい言葉は、小さい子どもの耳に心地よいに違いありません。メロディの特徴は連続する付点音符です。くまの子がぬかるんだ山道をよちよち歩く様子を表しているようで、ほのぼのとした世界観を見事に表現しています。時の流れに注目すると、実にゆっくりと流れていることに気がつきます。雨が降ってその雨粒が小川になるまでの時間。小川の中をのぞいて魚を探す時間。何にもいないと諦めるまでの時間。小川の水を飲む描写は、喉が渇くほど夢中になっていたことを思わせます。

 お父様お母様方は、時間を忘れて何かに夢中になった思い出はありますか?

 下校時、児童玄関から坂下門または正門までの数十メートルの距離が、子どもたちにとっては冒険の舞台のようで、おしゃべりしながら歩く子どもたちの足取りは、まっすぐ門に向かうばかりではありません。
 下校指導のつもりで低学年の子どもたちの様子を見ていた時の事です。数人が頭を突き合わせて草むらをじっと見つめていました。どうやら、ダンゴムシを探しているようです。遊ばせてあげたい気持ちを抑え「早く帰りましょう。」と声をかけると、渋々立ち上がって足を進めてくれました。しかしなんとなくソワソワしている様子でしたので、もしかしてと思い「ダンゴムシは連れて帰っちゃだめよ。」と声をかけたら、予想が的中。ゆっくりと広げた手のひらにダンゴムシが数匹丸まっていました。電車に乗せるつもりだったのでしょうか?
 また別の日には「先生、すごいこと教えてあげる!」と私を呼び止め、小石を探し始めました。見つけたいくつかの小石を手に「見ててね。」と、切り株の上に落とすと、小石が切り株の真ん中で跳ねました。と同時に、木琴のような軽やかな音が地面から聞こえてきました。その木は、空洞ができて倒木の恐れがあるため伐採された木でした。私が感心していると「すごいでしょ。私が発見したの!」と、とびっきりの笑顔を見せてくれました。これは大人には発見できない大発見です。
 大人になると、最短最速で目的地に着くことが当たり前になり、「寄り道」は時間を無駄にしたと考えがちです。しかし子ども時代は、目的よりも途中にこそ学びがあるのだと、子どもたちの姿から学びます。
 お子さまにはゆったりとした時間がありますか?習い事で埋まっていませんか?つい「早くしなさい。」と言っていませんか?時間に追われがちな毎日の中で、寄り道のような豊かな時間を、少しだけ思い出してみていただけたらと思います。

 ※会社帰りの寄り道は、ご家族の了解を得てくださいね。

6年生 社会科見学

 国会議事堂参議院と最高裁判所を見学しました。国会議事堂見学では、参議院特別プログラムに参加し、「裁判員参加法」の模擬法案を可決する過程を体験しました。数名の代表者が、委員会のとりまとめをする委員長や、法律提案者である大臣を補佐する大臣政務官、法案を検討する委員としての役割を担いました。代表でない児童は、参議院議員として押しボタン投票をして自分の意思を発信する体験をしました。今回扱った「裁判員参加法」は裁判員制度の導入のために2004年に可決された法律だったので、裁判員制度はどういうものなのかを理解し、その制度の良い点・悪い点などを考えたうえで、賛成か反対かを決定して投票している様子でした。実際に体験してみることで、法律をつくるための審議の流れについての理解を深めることができました。また、国会議事堂や最高裁判所の建物のつくりや豪華さにも感動していました。特に、最高裁判所の大法廷は、他の場所にはない独特の静けさと荘厳さがあり、息をのむ子ども達が多かったです。

児童の感想より

【参議院特別プログラム(模擬法案)について】
・法律ができるまでに、こんなに多くの手順があることにおどろきました。
・私は賛成派で、普通の人達の声を聞くのもよいと思いました。でも、結構(賛成にするか反対にするかを)悩んだので、いつもこんな仕事をやっているのだなと実感しました。
・押しボタン式投票では、「反対」を選びました。なぜなら、もしも自分が被害者だった時に、初心者の人に裁判されて違う判決がくだされるのが嫌だからです。
【国会議事堂見学について】
・国会議事堂の本会議場は思ったよりも広くておどろきました。テレビでしか見たことがなかったので、「あ!いつもテレビで映される演壇だ!」「ここで会議が行われるのか」と生で見る国会議事堂や本会議場に「すごい!」という気持ちでいっぱいでした。
・本会議場の第一印象は、「きれい」「ピリッとした空気」。その次に「高くて怖い」ということです。上を見上げると、高い天井があり、足がすくみました。

東初教 第47回 陸上記録会

 日頃の体育実践の発表と児童相互の親睦を深める機会として、成蹊学園グラウンド(陸上競技場)をお借りして、陸上記録会が行われました。今年は、都内の私立小学校10校が参加しました。
 校内選考会を実施し、学校代表として5年生4名、6年生13名の計17名を選出。天候不順により、朝の練習は予定通りにできない種目もありましたが、選手たちは緊張感を味わいながらも、自己記録の更新を目標にひたむきに取り組むことができました。

環境委員会の取り組み・シューコーナーの花壇

 セントラルコートから児童玄関へ向かうとき、色とりどりの花を咲かせる花壇が目に入ります。お天気のよい朝は明るい気持ちになり、雨が降る日には元気をくれるお花たち……。私たちの学校を、緑と花の溢れる環境にしようと、12年ほど前にシューコーナーと共に増設されました。
 それ以来、環境委員の子どもたちと教員のグリーンチームが中心となって、花壇の手入れや管理を行っています。
 5月と12月のお花の植え替え、春から夏の間に茂る木の剪定、そして欠かせないのが水やりです。雨がかからない場所にあるため、日常生活のみならず、長期の休みにも水不足にならないよう気を配っています。
 お花の植え替えは、環境委員の子どもたちにとってとてもよい経験となっています。色合いを考え、バランスよくお花をアレンジすることにより、花壇への愛情が育っています。朝の水やりをしながら、「今日はどうかな、元気に咲いているかな。」と花壇を覗く眼差しが、以前とは違ってきているようです。
 5月になると、レモンや柚子の木にアゲハ蝶が卵を産みに飛んできます。その幼虫を探しに、低学年の子ども達が花壇の周りを行き来する姿が微笑ましく、花壇の周りは賑やかです。