幸せのものさし
校長 児玉 純
女学院のキャンパスでは、フジやツツジが終わり木々の緑が濃さを増す季節になりました。暑くなったり、涼しかったりと気候は不順な日々ですが、時折吹き抜ける風が枝を揺らし絶妙な音楽を奏でています。今年もやってくるであろう暑い夏を控え、このキャンパスでの季節の移り変わりを楽しみたいと思います。
立教女学院卒業生のユーミン(松任谷由実さん)は、私が学生時代から大好きな歌手ですが、もう一人、よく曲を聞いていた人が竹内まりやさんです。一時期少し遠ざかりましたが、最近またその曲をよく聴くようになりました。僕の年代にはしっくりくるメロディが、ついはまってしまう理由の一つです。失恋の歌なども多いのですが、『いのちの歌』など、歌詞に惹かれる歌も多いです。その中の一つ『幸せのものさし』という曲をご存じでしょうか。その曲には、次のような歌詞が繰り返し出てきます。
Count what you have now. Don’t count what you don’t have.
Can’t you see? Don’t you know?
You can find. Find that you have so much.
これを聞くと、私が自分の教会で歌う聖歌『望みも消えゆくまでに』という歌を思い出します。それは、こんな歌詞です。
1.望みも消えゆくまでに 世の嵐に悩むとき かぞえてみよ 主の恵み 汝が心は 安きを得ん……
2.主の賜(たま)いし十字架を 担いきれず沈むとき かぞえてみよ 主の恵み つぶやきなど いかであらん……
3.世の楽しみ 富 知識 汝が心を誘う時 かぞえてみよ 主の恵み 天(あま)つ国の幸に酔わん……
私たちは、良くも悪くも忘れるということができる能力があります。(私は自分のことを「物覚えが悪い」と言わずに「物忘れが良い」と表現してポジティブに考えることにしています。)しかしながら、コロナの時にあれだけ「日常は当たり前ではなかった。」と思い知らされたのに、東日本大震災の時に「普通の生活は普通ではなかった。」と気づかされたはずなのに、ともするとうまくいかない自分にいらだち、他の人と比べて自分を嘆いていることにはっとさせられます。
先日、世界一貧しい大統領として知られていたウルグアイのムヒカ元大統領が亡くなり、その追悼番組が放送されました。その中で、ムヒカ大統領が日本についてこんな事を話しておられました。「日本は驚くべき発展を遂げました。しかし、その代わりにたくさんの大切なものを失いました。」
価値観は人それぞれです。何が大切か、何を優先すべきか常に決断をしていかなくてはなりません。まさに、一人ひとりが自分のものさしで測りながら、幸せを追い求めているのではないでしょうか。聖書には、「しかし、必要なことは一つだけである。」(ルカによる福音書10:42)とも書いてあります。ものすごく長い「幸せのものさし」で物事を測ろうとして、「まだ足りない。まだ足りない。」と嘆くのではなく、今与えられている幸せを一つずつ数えて感謝する日々でありたいと思います。
Count what you have now. You can find.
かぞえてみよ主の恵み 汝が心は 安きを得ん……
新しくなった食材札を一挙公開!
昨年度の5年生が取り組んだ食材札のリニューアル。4月から新しくなったメニュー黒板と食材札を使って今日の献立を紹介しています。札を作り、実際に使ってみた感想を掲載します。
5年生春のスタディツアー 茨城県常陸太田市金砂郷
5月の連休が明けてすぐ、5年生は茨城県に出かけました。
金砂到着後、お弁当でたっぷり腹ごしらえをして田んぼへ向かいます。あぜ道を歩きながら周りを見渡すと、両側に広がる田んぼの中には幾本もの真っ直ぐな線。いざ苗を片手に田んぼの前に立つと、中にはすいすい泳ぐオタマジャクシやアメンボの姿が見えました。多くの生き物が暮らすこの田んぼに足を踏み入れるのかと、覚悟を含んだ表情の子どもたち。地元の方が田んぼに足を入れたことを皮切りに、えいっと一歩目を踏み出しました。入ってみると、なかなか二歩目が踏み出せず倒れそうになり「助けて!」という声があちこちで上がりました。地元の方から「かかとから抜いてごらん。」とアドバイスをいただき、一歩一歩進んでいきました。車窓から見た田んぼの様子を思い出しながら、なるべく等間隔になるように植えていきました。植え終わって田んぼをふり返ると、しっかり張られた水の中に、風にそよそよとたなびく緑の苗と多くの足跡が見えました。交流会を通して地元の方に質問をし、和やかなひと時を過ごしました。「機械がなくて手作業で全部やっていた時はもっと大変だったのかと思うと、お米をつくってくださる方々に感謝しなきゃ。」という感想も聞かれました。
2日目。バスの中で配られたお茶のパッケージを見ながら「一芯二葉」というお茶の摘み方を教わり、奥久慈茶の里公園に到着。薄緑色の新葉を選びながら摘みました。家に持って帰りお茶やチヂミにするとふわっとコクのある風味が漂ったという感想も聞かれました。茨城の大地の豊かさを、食や生き物を通して存分に感じた2日間になりました。
~~~~~日記より~~~~~
・初めての田植えは、ギュッギュッという植えごこちが気持ちよく楽しかったです。
・交流会の時に「一番大変な事は、バランスよく農薬をまくこと」と聞いて、どんな仕事にも大変なことがあるんだなと分かりました。
・茶葉の新芽はやわらかくて、力を入れなくても指先で簡単につむことができることを発見しました。