「幸せになるために」

「幸せになるために」    教頭  吉田 太郎

5月1日より新しい元号となり、しばらく世間では、あたかも新時代がやってきたかのような、祝賀ムードに溢れていくことでしょう。元号の持つ歴史的な意味、私たちの学校では元号を用いない意味。マスメディアによる政治ショーに翻弄されることなく、キリスト教学校では一つひとつ丁寧に真理をみつめ、取り組んでいかねばと考えます。

さて、近年、話題となったAlfred Adler(1870〜1937)のアドラー心理学は「人間とは相対的に劣等感を覚えるマイナスの状態から、優越感を覚えるプラスの状態を目指して行動する生き物である」と分析しています。この優越感を得るために承認欲求が過剰に働くのが現代の特徴かもしれません。
アドラーは、人が幸せになるためには、他人と比較する生き方から解放されなければならないと説きます。「インスタ映え」という言葉が流行語として話題になり、各地の観光地や人気のグルメスポットなどの写真が数多く投稿され、誰もが羨むようなライフスタイルを追い求める傾向がますます強くなっています。そんな中では「インスタ疲れ」なる言葉も生まれています。
他人と比較する生き方から解放されるためには、根本にある「承認欲求」を捨てることが必要だとするのがアドラー心理学の特徴です。他人からの承認・評価を求めること。それは学歴や地位、名誉やお金、または権力といったものを獲得することを人生のGoalとする生き方です。しかし、他者からの承認や評価とは、あくまでも他者の期待を満たすことに過ぎないということに気づく必要があります。では、どのようにして「承認欲求」を捨てることができるのか?ポイントは「課題の分離」にあるといいます。すなわち、何をGoalとするか、自分の課題(幸福)と他人の課題(評価)を分離することによって、人生は競争ではない。と気づく視点が生まれます。もしも人生が競争ばかりだとしたら、競争には勝者と敗者があり、勝負事では、自分がいつも勝者になれるとは限らないからです。また、周囲は敵だらけと感じながら生きる生き方は孤独でしかありません。アドラー心理学では、人が幸せに生きるためには、モチベーションの主軸を他者との勝ち負けではなく、「他者に貢献すること」あるいは、地域や社会、家庭や仲間といった「コミュニティへの貢献」としていくことが解決策だと結論づけています。

キリスト教教育とは「あなたは神に愛された存在である」という大前提の上に、神に愛される生き方を目指そうとするものです。神さまは私たちにどのような生き方をお望みか――それは『わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。』(ヨハネ13:34)という聖書の言葉に集約されています。愛し合うとは、大切にすること。尊重すること。気遣うこと。
立教女学院小学校は1931年の創立以来、「他者に仕えること」を教育のGoalとして歩んできました。子どもたちが本当の意味で幸せになるために、先達から受け継がれる「させていただくよろこび」という言葉。他者のために働くことを喜びとする生き方を義とする。子どもたちが本当の意味での幸せを実感できるために、ここに通底する価値観を大切にしながら、新しい時代にも立教女学院小学校らしい、教育活動を続けていきたいと願っています。

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≪壁クロス・外靴置き場≫
新年度を迎える準備として、春休み期間中に校内の清掃に加えて、いくつか補修工事などを行いました。
今回は1年生教室の中庭側に念願の「くつばこ」が設置されました。既製品ではなく、檜を素材に大工さんが手作りで作り上げてくださった一点もの。設置後にはペンキ職人さんが3時間かけて丁寧に表面を磨き、防腐処理。「檜の香りがいいね。きっと子どもたち喜ぶだろうなぁ」と嬉しそうに話しながら作業をしてくださった職人さんたちの姿がたいへん印象的でした。また、各教室廊下にあるワードローブの上の壁紙も張替えを行い綺麗になりました。女子校とはいえ、元気(おてんば?)なお子さんたちですから、教室の建具やクロスなど、思わぬ汚れや破損などに悩まされることもあります。花と緑に溢れる季節、校舎内の観葉植物や、木の香りの残る自然素材。美しいデザインに恵まれた学校環境ですから、子どもたちには物を大切に扱うということも学んで欲しいと願っています。