2022年を振り返って
教頭 上川 恵
コロナに翻弄されて3年が過ぎようとしています。未だ続くマスク生活に違和感を感じなくなっていることがあり、人間の意識のはかなさを突き付けられているようです。カタールで行われたサッカーワールドカップでは、マスクなしの観客が大きな声で声援を送っていました。その光景を見て驚くこと自体、3年の月日が、私たちの当たり前を静かに塗り替えていったことに気がつきます。
日本では、スポーツ観戦やコンサート等で、少しずつ声出しが緩和される動きが出ています。声や行動など、人の感情と直結する部分に制限が入ることは、大きなストレスです。我が子の部活は未だに保護者の試合観戦が禁止されており、もう3年も息子のプレイを見ていません。本人たちも応援は拍手のみとのことで、各校の応援歌が飛び交う中高生らしい青春体験ができないことを不憫に思います。夏の甲子園では、東北勢初の優勝を果たした、仙台育英高校の須江監督の言葉が話題になりました。「青春って、すごく密なので。」もう二度とやってこない「今」を懸命に生きる若者に寄り添い続けた人が発した言葉に、多くの人が共感しました。
大人にとったら「今だけ」が、子どもにとったら「今しか」です。小学校ではこの「今しか」を体験してほしいと、行事はできる限り通常に戻すことに注力した一年でした。それでも戻しきれなかった部分もあります。「来年こそは」と昨年と同じことを今年も心に願うのでした。
世界に目を向けると、今年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まりました。いとも簡単に町が破壊されていき、多くの人が犠牲になっていく様子は、今この時に起きているとは信じ難い光景でした。残念ながらそれは今も続いています。
テレビでキエフ(のちにキーウに統一)の名が聞かれる度に、ロシアの作曲家ムソルグスキーの「展覧会の絵」を思い浮かべていました。「展覧会の絵」は、題名の通り元となる絵が存在しており、美術館の廊下をゆっくりと進みながら、一枚一枚の絵を鑑賞するかのような組曲構成になっています。元となる絵を描いたのは建築家のハルトマンで2人は親友同士でした。若くして病死したハルトマンの遺品で展覧会を開いた時に、ムソルグスキーが数枚の絵からインスピレーションを得て作られたとされています。組曲の最後が「キエフの大門」です。ラベル版を改めて聴いてみると、キーウ公国時代の華やかさ壮大さ優雅さが見事に表現されています。曲の終盤には鐘の音が鳴り響きます。これは、教会の鐘の音で、キーウ公国がキリスト教の国で、生活の中心に礼拝があったことがわかります。
かつて栄華を極めたキーウがモンゴル軍によって滅ぼされたこと、象徴だった大門が破壊されたこと、その何百年後に門を再建しようと動いたこと、再建はできずハルトマンのデッサンが形になることはなかったこと、のちに遺構を残そうと今の黄金の門ができたこと、門の上にはキーウがキリスト教の町であることを示すために教会が造られていること、その黄金の門が今再び破壊されていること……。希望と絶望の繰り返しは何を意味しているのだろうか、と神様に問います。再び平和の鐘が鳴り響くことを願わずにいられません。
2022年がもうすぐ終わります。クリスマスと年末年始はどうぞご家族で平和な時を過ごされますように。
≪1・2年生 秋さがし≫
1、2年生一緒に、井の頭公園に「秋さがし」に出かけました。美しく色づいた木の葉のじゅうたんの上を歩くこ
とができました。学校にもどった後は、木の実や木の葉を使って工作をします。そのための材料を拾ってくることも
秋さがしの目的の一つです。一枚一枚拾っては、「この色はどうかな。」「顔より大きい葉をみつけた。」と吟味しなが
ら袋にしまっていました。
【2 年生の日記より】
・春の遠足の時はみどり色だった木々が、赤や黄色やオレンジ色に色づいていました。それが池にもうつっていて、
とてもきれいでした。
・赤ちゃんのようなどんぐり、おすもうさんのようなどんぐりを見つけました。
・おうちで、ずかんでしらべました。ぼうしが点々もようなのはマテバシイ、しましまもようなのはアカガシです。
・1 年生は、わたしよりどんぐりをたくさんひろっていて、すごいなと思いました。
・葉のない木をながめながら、「もうすぐ冬がはじまるな。」と思いました。
≪3年生 社会科見学≫
12月8日(木)、3年生は、社会科見学で「江戸東京たてもの園」に行ってきました。小金井公園内にある江戸東京建物園は、江戸時代から昭和中期の建築やお店など、約30棟の建物が移築されている施設です。
まずは、江戸時代のかやぶき屋根の農家で、火鉢体験といろり体験を行いました。電気やガスがない時代、火を自分たちでおこして暖をとっていたこと、小さな火でもとても暖かいことに驚いていました。また、現代の便利な暮らしとのちがいを感じ、「便利な時代になったんだね。」「昔の人は大変な暮らしをしていたんだね。」という言葉が聞こえてきました。いろりから上がる煙が、虫や動物をよせつけないようにしていたこと、その影響で周りにあるものが黒くなっている様子を見て、江戸時代、実際にここで生活していた人がいることを肌で感じることができました。
体験の後は、明治時代から昭和時代の建物や昔の商店を見学しました。江戸時代と比べると建物のつくりが変わり、道具も便利な物が増えていることに気づき、「時代によってこんなにちがうんだ!」と感動の声が上がりました。学校では、事前学習として昔の道具や暮らしについて本で調べていましたが、実際に本物を見ることで更に学びを深めることができたように感じます。
今回の社会科見学は、子どもたちが今の暮らし方を見つめ直す、よいきっかけになったと感じています。
【3年生の日記より】
・高橋是清さんのお家はとても大きく、門だけでも一部屋作れそうなほどでした。
・昔の人の知恵や工夫はすごいなと思いました。
・昔の銭湯は12円で入れることにびっくりしました。
・建物の中に入ると歴史の重みを感じました。私はこれを機にもっと歴史を勉強したくなりました。
≪5年生 クリスマスカード作り≫
「縁の下の力持ち」として学校の行事を支える5年生は、これまでもイースターやお楽しみ給食等に携わってきましたが、このクリスマスカード作りが、最も長い時間をかけて行うご奉仕です。カードを受け取る1年生から6年生みんなに喜んでもらえるように、「心をこめて丁寧に」を合言葉にスタートしたのはまだ10月のことでした。どんなアイデアを盛り込んでいくか一人一人の思いを出し合い、4人で相談しながら1つに集約し、試作品を作ります。そこから改良を重ねていき、やっと出来た自分たちのカード。それを今度は28枚作り上げるために、たくさんのパーツを作り、丁寧にのり付けして1つ1つ仕上げていきます。11月から12月にかけて、授業だけでなく休み時間も使い、カード作りを行いました。他にはどこにもない、世界でたった一つのオリジナルのカードは、どれを見ても、工夫が凝らされていて、かわいらしく、手作りのぬくもりに溢れています。そして、子どもたちの一生懸命な思いと頑張りが詰まったカードです。昨日、お子様を通してご家庭に届いたことと思います。手作りのカードとともに、あたたかいクリスマスをお迎えください。
【5年生の日記より】
・私たちのチームは、まず部品をたくさん作っていきました。雪だるまやブーツ、ツリー、聖句が入っているとびら、アドベントカレンダーなどの大きい部品や、ブーツの上の部分、ツリーの幹、はちなど小さく、細かい部品もです。アドベントカレンダーや聖句のとびらなどはカクカクしていて切りやすいですが、雪だるまのように丸くて切りにくい部品もあり、部品の大量生産には思ったより時間がかかりました。
・クリスマスカードは、案からカードの完成まで全て5年生がやります。私は思っていたより大変でした。最近は毎日大体2時間ずつあって、今までのお姉さんたちも、こんな大変なんだなと思いながらがんばっています。私たちが作るのに苦戦していると、今まであんなにキレイに作ったお姉さんたちはすごいなぁと思います。