光について
光について 教頭 吉田 太郎
『ディア・ドクター』(2009年、脚本・監督:西川美和)という映画をご存知ですか。過疎化の進む山深い、とある村で村の人たちから全幅の信頼を寄せられていた唯一の医者(笑福亭鶴瓶)がある日、突然失踪してしまいます。その医者は実は無資格で医療行為をおこなっていた偽医者だった。というお話しです。映画のキャッチコピーは「その嘘は、罪ですか」。(まだご覧になっていない方は是非お勧めします。)
ロケ地が茨城県の常陸太田市だったということもあり、数年前にはスタディツアーで子どもたちと一緒に診療所として使われた公民館を訪ねたこともありました。映画の冒頭で偽医者の捜索にやってきた刑事が、外灯の明かりが届かない限界集落を眺めながら「夜が暗いな」と呟くシーンがとても印象的です。『ディア・ドクター』という映画の中での主要なテーマは、何が本当で何が嘘なのか。何が正解で何が間違いなのか。ということだったと思います。嘘という罪の中に人間の持つ優しさ、温かさを見出す、そんな作品でした。
映画の中にあるように、子どもたちが毎年スタディツアーで活動させていただいている金砂郷(茨城県常陸太田市)の里山は、東京とは比べ物にならないくらい「夜が暗い」ので、月や星たちが辺りを照らすよう輝いて見えます。
クリスマスの物語は、この「夜が暗い」荒れ野が舞台となっています。羊飼いたちが天使に出逢い、幼子の誕生を告げられた夜もきっとこんな感じだったんだろうなぁと想像を膨らませます。クリスマスまでの準備の期間である降臨節(アドベント)には1週ごとに祭壇に飾られた4本のアドベントクランツに明かりを灯し、幼子イエスの誕生を待ち望みます。ユダヤの人々は数百年間にわたって暗い闇の中で長い間、救い主の誕生を待ち望んでいました。
預言者イザヤの書にはこう記されています。
闇の中を歩む民は、大いなる光を見
死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。
光について考える時、私たちは、暗闇と光を正義と悪、清濁の象徴として拮抗する二つの勢力のように捉えがちです。しかし、暗闇と光とは、同列に比べるものではありません。闇は深淵で、どこまでも続き、私たちを覆いかぶそうとします。しかし、罪ある私たちの只中に「光」というものが現れた時、その光がどれだけ小さなものであったとしても、暗闇は光に照らされることによって消え去る存在なのです。その光が一つから二つ、二つから三つと、増えることによって暗闇は小さくされていきます。どんなに夜が暗くても、そこに光があれば闇は消え去る。悪の力に圧倒され、無力感や虚無感に追いやられそうになったとしても、そこに光があること、私たち一人ひとりが神さまの光を映す存在となれるということ、そんな光について教えることこそが立教女学院が大切にしてきたキリスト教教育なのだと信じます。「夜が暗い」世界にも暖かな光が灯りますように。
クリスマスおめでとうございます。
Well Learning Project -GREEN-
ガーデニングワークショップ
11/13(土)、校舎内の観葉植物と花壇の植栽にご協力をいただいている園芸店(株)プロトリーフのスタッフにご指導いただき、環境委員会で花壇の植え替えをしました。植え方や配置のバランス、お世話の仕方なども教えていただきながら、充実したワークショップとなりました。これから春にむけて、引き続き管理をしていきたいと思います。
植物観察会
昨年度3月に引き続き、鈴木純さん(植物観察家/植物写真家)をお迎えして植物観察会を行いました。5・6年生の希望者と一緒に秋色に染まる立教女学院キャンパスを歩き、様々な植物をじっくり観察して秘密に迫りました。ふわふわコートを着たハクモクレン、花が無い⁉ハラン、学校一鮮やかなクチナシの実、2種類のケヤキの落ち葉、天然のスーパーボール……。鈴木さんの観察フィールドは野山ではなく街。身近な所にこんな面白い植物があったんだ!と寒さも忘れて植物と戯れる子どもたちでした。
3年生イエローポップ
3年生は総合の授業の中で、とうもろこしの一種「イエローポップ」を栽培しました。5月に種まきをし、6月はじめに間引き、収穫は夏休みをまたいだ9月に行いました。最初は小指の爪程の大きさしかなかった種が、夏を越えると大人より大きい2m近くまで成長します。また、収穫してもすぐには食べられません。更に2ヶ月近く乾燥させ、水分を飛ばします。子どもたちは、こつこつと水をやり、雑草を抜き、収穫の日を半年近く待ち続けました。そして11月30日、ついに自分たちの育てたイエローポップを、ポップコーンに調理して食べる日が来ました。子どもたちは味付けを話し合いで決め、自分たち好みの味にしていただきました。そして、給食を食べてすぐにも関わらず、大量のポップコーンを一瞬でたいらげてしまいました。ポップコーンが苦手と言っていた児童も、この時ばかりは「自分で育てたから、美味しい。」と言ってたくさん食べていました。出来合いの商品を買って食べるだけでは味わえない、「育てる苦労」と「味わう楽しさ」の両方を、体験することができた活動になったようです。
・お店では手軽に買えるポップコーンを、こんなに時間をかけて作るなんて、思いもしませんでした。大事なことが学べたと思います。
・フライパンをふるとイエローポップが「パパン!パン!」となっていました。ポップコーンが出来た時、とってもいいにおいで、ディズニーランドのにおいがしました。
・私はポップコーンが苦手なので食べない気でいたけれど、自分たちで作ったからか、とてもおいしく感じました。
1年生 スイートポテト作り
1年生は、ジョイプラッツの隣の畑でサツマイモを育てました。5月に畑をたがやし、苗を植えてからぐんぐん葉をのばしてくれました。秋になり、いよいよ「おいもほり」です。大きなサツマイモがたくさん出てきて、子どもたちから歓声があがりました。追熟を待ち2週間後、「スイートポテト」を作りました。
・わたしがアリになってスイートポテトをたべたら、おいしいおいもで、おなかがいっぱいになるとおもいました。
・作るとき、手がべたべたになりました。たべてみたらびっくりぎょうてん、おいしくて天井までとびあがりそうでした。
・さつまいものあまみと、バターのこうばしい味が口いっぱいに広がります。外はカリッとしていて、中身がトロッとしていて、今まで食べた中で一番おいしいと思いました。
うたごえweek開催
約2年続いているコロナ禍により、子どもたちの発表の場がなくなってしまったことを、教員一同とても残念に思っています。音楽科では子どもたちに、「歌いたい気持ち」「舞台に立つ気持ち」「作品を仕上げるプロセス」「目標に向かう努力」を思い出してもらおうと、『うたごえweek』を企画しました。礼拝後、1学年ずつ舞台で歌の発表をする、というものです。
録画や配信ではなくライブで行う発表は、聴衆の反応が直に伝わります。やり直しの効かない一回だけの本番というのも、発表会ならではの学習スタイルです。発表した子どもたちは、緊張する一方で、聴衆の温かい反応に喜びや充実感を見出していました。「緊張したけど楽しかった。」「次はもっと大きい声で歌いたい」「今度は二部合唱がしたい」など、次を見据えた前向きな感想をたくさん聞くことができました。
キャロリング
昨年に続き2回目の開催となります。ここ2年、学院の様々な行事が中止となり、各校の聖歌隊とハンドベルクワイヤーの奉仕の場がなくなってしまいました。礼拝奉仕をする仲間の演奏を聴く機会を作ろうと声があがり、実現したステージです。
風の強い寒い日でしたが、多くの小学生と部活途中の中高生が集まってくれました。日常が戻るまではまだ時間がかかりそうですが、ほんのひと時、一緒にクリスマスのお祝いができたことをうれしく思います。放課後のセントラルコートに、喜びの歌声とベルが鳴り響きました。