諸聖徒日に     

諸聖徒日に    教頭 吉田 太郎

「こんなに大きな、高い塔のようなチャペルは……、相応しくない。いらないんですよ。」2000年9月の聖マリア礼拝堂・竣工記念感謝礼拝の朝。当時、立教女学院の理事長でいらっしゃった竹田眞(東京教区)主教に、「朝の放送」で放映するために子どもたち向けのお祝いメッセージをお願いしました。

「よぉーい、スタート!」録画ボタンを押して撮影開始。すると、冒頭のお言葉が始まったのです。私はビデオカメラを構えながら、(えっ!?主教さま!なんでそんなこと仰るのですか!)と、思ってしまい「主教さん、子どもたち向けのお祝いのメッセージなので、もうちょっとなんとか……。」と撮影後にお願いしてしまったような記憶があります。今、振り返りますと、とても恥ずべき行為であったと悔やんでいます。竹田主教は子どもたちや私たち教職員に、『立教女学院には校舎建築によって美しいキャンパス、立派なチャペルが与えられたけれど、神さまは、立派で大きなところにではなく、小さく低くされた人たちのもとにこそ、祝福をお与えになる。この神の国の価値観・視点をこそ、立教女学院小学校の教育の中で大切にしなさい。』と警鐘をならし、教えようとなさっていたのだと思うのです。
 聖書の物語の中で、エルサレムへ向かうイエスさまに対して、弟子たちは何度も、何度も繰り返し、思いや言葉、行いによって過ちを重ねました。そのたびごとにイエスさまは弟子たちを教え諭し、戒められ、叱られました。「まだ分からないのか。悟らないのか。心がかたくなになっているのか。目があっても見えないのか。耳があっても聞こえないのか。覚えていないのか。」(マルコによる福音書8章17−18節)

 立教女学院小学校は今年、創立90周年を迎えます。学院の創立は1877年(明治10年)ですから今年で144年。神田明神下の民家を間借りした小さな私塾。たった6名の生徒から始まったキリスト教学校の歩みは、関東大震災や太平洋戦争などの戦禍を経験しながら、今日も学びの共同体としての働きを続けています。2000年前のユダヤからみれば、遠く離れた東の果ての異邦人の地であるここ日本で、これから先、立教女学院が果たすべき役割、求められている働きとは何か。

 20年前に大切なことを教えてくださった竹田眞主教がこの夏の終わり、天に召されたとの訃報がありました。教会の暦では11月1日は諸聖徒日(諸魂日)となります。キリスト教では死者の葬り方について日本古来の「供養する」ということではなく、亡くなった方は神さまの「永遠の命に与る」という考え方をします。亡くなった方と私たちが「交わり」をもって、やがて私たちも永遠の命に与るということに希望を持つことを記念する期節が諸聖徒日です。『神さまは、立派で大きなところにではなく、小さく低くされた人たちのもとにこそ、祝福をお与えになる。』
 ハロウィンの喧騒のあとには、竹田主教のメッセージを改めて受け止める。そんな時を大切にしたいと思います。

小学校創立90周年記念芸術鑑賞会

 9月30日(木)、N響の団員を中心とした、8人編成の室内楽コンサートを開催しました。分散登校、感染対策、天候……直前まで心配は尽きませんでしたが、無事開催にこぎつけることができました。
 今年は小学校創立90周年にあたり、「お祝いにふさわしい、華やかで品のあるステージを」とオーダーしたところ、弦・木管・金管それぞれの音色が楽しめる曲を用意してくださいました。しかし、子どもたちにはあまり耳馴染みのない曲ばかりです。低学年は40分、高学年60分のステージ。30分のオンライン授業をおこなっていた子どもたちにとっては、長く退屈になるのではと少し心配でした。そこで、音楽の授業で、作曲家や曲目についての事前学習をすすめ、見どころ聴きどころを学習しました。
 本番は身を乗り出して聞き入ったり、曲に合わせて指揮のように手を動かしたりして、こちらの心配をよそに、子どもたちはよく聞いてくれました。大人が色々と知識を教えなくても、音楽そのものから教わることあるのだな、と実感しました。最後の聖歌では、子どもたちの声が楽器の音色と融合し、美しいハーモニーがチャペルに響きました。それは音楽に導かれた美しい歌声でした。

日記より

〇わたしはいちばんさいしょのおおきなおとでどきっとしました。(1年生)
〇はじめて見たがっきもあるし、見たことがあるがっきもありました。いろいろな音があってとてもすてきでした。(1年生)
〇わたしは目をつぶって音楽をたのしみました。どの音楽もまほうみたいにいやされました。(2年生)
〇8人の少人数でのえんそうだったけど、30人がえんそうしているくらいダイナミックだった。(2年生)
〇さっきょくしゃの気もちをつたえられる音楽は、とてもすてきだと思いました。(2年生)
〇チェロがとてもきれいな低いなめらかな音で心に残りました。そしてクラリネットが思っていたよりも低く安定した音できれいな音色だと思いました。(5年生)
〇八つの楽器が合わさるとこのような音がでるのか、と、生で音が聞けて本当に良かったです。(5年生)

実りの秋 5年生 バケツ稲

 6月中旬にバケツに植えたイネの苗は、8月末に小さな白い花を咲かせ、10月上旬にようやく稲刈りのときを迎えました。
 「明日の昼休みにバケツ稲の稲刈りをします!上履きでいいですよ。」「えっ上履きで大丈夫なんですか?泥だらけになっちゃう……」そんなつぶやきが聞こえてきました。先月おこなった茨城県からのオンライン稲刈り中継では、校長先生が大雨後のぬかるんだ田んぼに入ってイネを刈っていたのです。なるほど、きっとその姿が印象的で、子どもたちの中では稲刈り=泥だらけになるというイメージになっていたのかもしれません。校庭で遊んでいた低学年の児童も「これ、お米?」と、5年生の刈るイネに興味津々。中には「私も家で育てた!この前収穫したよ!」という声も。
 ペットボトルと割りばしで脱穀したイネを、すり鉢とボールで籾すりして玄米に。少量ですが手作業なので時間がかかります。籾すりし、ザルでふるい分け、籾がらを取り除き、選別し……声を掛け合いながら1人ひとりが役割を見つけ、丁寧な仕事が光る5年生でした。玄米にしたお米は、1つの班でおにぎり1個分くらいでしょうか。小さな一粒の種もみが成長していったようすをふりかえりながら、美味しくいただく予定です。

運動会ダンス特集

1年生

「ジャンボリとは、みんなでゆかいにおどること。みんなの笑顔で、幸せを周りの人に届けるような気持ちでおどってほしい。」と、ダンスの練習の最初に1年生に伝えました。今年はオンライン授業や分散登校のため、72人そろって練習できるのは5日間のみ。短期集中で毎日練習し、踊りも移動の仕方も覚えました。自分たちのダンスをビデオにとって見ると「もっと列をそろえよう。」「動きを合わせよう。」などたくさんの意見が出ました。そして、きらきらのポンポンを持つとテンションはさらに高くなりました。
 運動会後の日記には、「上級生のお姉さんにかわいいと言われてうれしかったので、これからも、おうちでもっともっとおどりたいです。」「パンチのところと、最後のきめポーズがすごく楽しかったです。」などの感想がありました。

6年生

今年のテーマは、「明るい未来 広い世界へ」です。明るく前に向かっていく気持ちを表現しました。立候補からなるダンスリーダーたちを中心として、夏休み前にグループに分かれ、自分たちで短いカウントの動きを創作しました。海の波や海の中を泳ぐ動き、望遠鏡で未来をのぞく姿、空を見上げる表現など、自分たちで考えた素敵なダンスがたくさん詰まっています。コロナ禍の少ない練習回数でしたが、6年生らしい素晴らしい演技でした。
 ダンスリーダーからも、「みんなで相談し、準備をする時間はとても貴重で楽しかったです。」「そろっている!きれい!という声が聞こえると、とても嬉しくなりました。」と感想がありました。たくさんの笑顔 が見られた大切な一日となりました。