野の花    

野の花          校長  児玉 純

 1学期が終わりました。昨年度に比べれば、今年の1学期はまだ普通(?)に近づいた学校生活だったように思いますが、やはり多くの予定が変更や中止になってしまいました。夏のキャンプもいろいろ工夫して作戦を立てましたが、Covid19の変異株の前に、撤退せざるを得なくなりました。子ども達が楽しみにしていた行事で、教員も張り切って準備を進めていたところでしたので、残念な気持ちでいっぱいです。保護者の皆様には、度重なる変更にも関わらず、学校の方針をご理解、ご協力いただいたこと、感謝しています。ありがとうございます。そんな中ではありますが、学校で友達と一緒に学習し成長できたこと、直接友達と会話し、触れ合い、笑顔を交わして過ごせたことなど、日常の出来事に感謝する気持ちを子ども達には忘れないでほしいと思います。

 さて、4度目の緊急事態宣言が発令され、コロナの感染状況は先が見えない状況ですが、この夏休み、どのような計画を立てておられるでしょうか?緊急事態宣言が再度発令され、国内旅行、海外旅行、オリンピック、パラリンピックの観戦等、それぞれのご家庭で様々な予定があったと思いますが、なかなか難しい状況になってきました。でも、せっかくの長いお休みですので、普段できないことや親子で同じ空間を共有することにたっぷり時間をかけることができたら、有意義な夏休みになることと思います。

 私のおすすめは、お金と移動があまり必要のない「野草さがし」です。道端や公園、原っぱなどに生えている野草は、とてもかわいらしく花を咲かせていたり、けなげに茎をのばしていたりと良く見るとなかなか捨てがたい美しさや生命力をもっています。私が好きな草は、ちょっと大声で言うのがはばかられる様な名前の「オオイヌノフグリ」、その名もかわいい「ヒメオドリコソウ」、小さな花の配列が個性的な「ネジバナ」などです。花壇の花に負けず劣らず(私はそう思っていますが)の存在感です。昔から親しまれている「スミレ」やタンポポの中でも「カントウタンポポ」などを見つけると、なんだか得をしたような気分になります。

 採取できれば根の形や長さなども調べられますし、それが難しければスマートフォンやiPadなどで撮影してデジタル図鑑などにしても楽しいかもしれません。マタイによる福音書6章28節には、「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾っていなかった。」とあります。あのソロモンを上回る美しさに気づき、名前を覚えた野草を見つけることができたら、きっと普段の散歩や公園遊びが何倍にも楽しいものになるはずです。また、自分が神様に愛されている事やくよくよ悩んでいる事も神様がとっくに承知してくださっていることを、この小さな野草を通して再確認できるのではないでしょうか。

 小学生の夏休み、何をしてどんなことに時間を使ったかは、これからの人間形成に大きな影響を与えることでしょう。今年の夏も暑くなることが予想されています。十分な熱中症対策をして、コロナに気を付け、「野草さがし」を夏の予定の一部に取り入れていただけましたら幸いです。

 ちなみに、マタイの福音書にあるもう一つの例、「空の鳥をよく見なさい。」とある鳥の観察も楽しいようです。上級者になれば、鳴き声で鳥あてクイズなどもできるそうです。でも、対象が動くことや多くの場合木の上など遠くにいること、葉っぱの陰で姿がよく見えないことなど私には少しハードルが高いのですが、そのうち挑戦してみようと思っています。

 これから始まる一か月半の夏休み、健康に安全に過ごしてほしいと思います。そして、9月には、「おはようございます!」の元気な声と楽しい思い出をたっぷりもって子ども達が学校に戻ってきてくれることを楽しみにしています。

 

≪チャリティ・デー≫ 

今年度のチャリティ・デーは、公益財団法人「アイメイト協会」から、代表の塩屋(しおや)隆男(たかお)氏をお招きし、全校でご講演を伺いました。まず、スライドを通して、1957年に創設されたアイメイト協会の歴史と、「アイはI(私)」「アイはEYE(目)」「アイは愛(LOVE)」アイメイトは「私の愛する目の仲間」という協会の理念について学びました。子どもたちの目をくぎ付けにしたのは、歩行指導員の方と共に講演に来てくれた、アイメイト候補犬の「ポロ(仮名)」。30分間にわたる講演の間、じっと伏せて微動だにせず待っている様子に、アイメイト協会のプロフェッショナルなお働きを目の当たりにした思いでした。また、普段なかなか知ることのできない、視覚に障害を持った方の視点や気持ちを伺うことができ、自分達にできる行動について考えるきっかけをいただくことができました。

 全校への講演の後、場所を体育館に移し、6年生を対象にした「歩行体験」をさせていただきました。コーンを障害物に見立ててつくったコースを、アイマスクをつけてアイメイトと歩く体験です。先ほど、じっと伏せて待っていたポロが、子どもの半歩先を歩き、歩調をあわせながらコースをゆっくり回っていく様子を見学しました。実際の街の中は、疑似コースとはくらべものにならないほどいろいろな条件があることを想像し、6年生からはたくさんの質問が挙がりました。その一つひとつに、塩屋さんが丁寧に答えてくださったことで、子どもたちの理解も一層深まったようでした。社会の中で弱くされた方々へ信念をもってお働きを続けていらっしゃる方との出会いが、私たちの小さな勇気を支えてくれることを願っています。

~児童の感想より~

・以前私は、初めてアイメイトと目の不自由な方が歩いていたのを見て、「アイメイトが目の不自由な方を誘導している」と思い込んでいました。アイメイトは迷わずにちゃんと、信号が赤だったら止まり、青になったら歩き出していたからです。今日、塩屋さんのお話を伺って、本当はアイメイトがユーザーの指示に従って行動していたことが改めて分かりました。なので、私はアイメイトを連れている方にも「何かお困りですか」と声をおかけしようと思いました。

・4人のクラスメイトが体験していた歩行体験では、アイメイトの「ポロ」が、4人とも確実に傷つけないように導いていたので、すごいなと感心してしまいました。ポロもとてもかわいいので、周りの人達も違和感なく自然に接することができるのかなと思いました。

・SDGsの目標の一つに「だれ一人取り残さない」という目標があります。目が不自由な方々は、生活している中で当たり前にできることができなかったりして、大変な思いをしていると思います。駅や電車やお店の中で困っている方がいたら声をかけてみようと思いました。勇気をだして声をかけることで、みんなで助け合えるもっと優しい住みやすい社会になると思います。

 

≪七夕まつり≫

 7月7日の七夕の日。今年は1・2年生合同で七夕まつりをしました。まず短冊に願い事を書いて、笹にかざりつけます。「早くコロナがおわりますように。」「マスクなしで生活できるようになりますように。」「これからも毎日学校に行けますように。」コロナ禍ならではのお願い事がたくさんありました。

 笹に飾りつけした後は、2年生が1年生のために企画したゲーム大会です。「1年生をたくさん楽しませたい!」と大張り切りで、休み時間も練習をしながら、準備を重ねてきました。はじめはガチガチに緊張していましたが、1年生が楽しそうに笑うと、一気に安心したような表情になる2年生。一人ひとりの1年生への温かい気持ちが、教室いっぱいに広がりました。いつもよりも、ちょっぴりお姉さんらしい姿を見ることができました。