新年を迎えて
新年を迎えて 校長 佐野 新生
明けましておめでとうございます。日本海側の皆さんが大雪や吹雪などで大変なご苦労をされている時に申し訳ない程東京は良いお天気が続き、穏やかにお正月を迎えることができました。しかしながら感染拡大の状況はご承知の通りで、大晦日の東京の新規感染者は1337人、直近の1月6日はついに1591人となり、重症患者数も過去最高を更新し続けています。現在の発症者はクリスマス前後の時期に感染を受けた方々が大半とは言え、すでに初期型に比べて感染力が70%もアップした変異型のウィルスも検出されたとのことですし、医療機関の対応もいよいよ限界に来ており、某大学病院で脳卒中や心筋梗塞の急患のICUへの受け入れを断らざるを得なくなったとの報道もありました。事態は非常に深刻です。児童の登校を通常方向で継続するべきではとのご意見も頂戴しておりますが、若年層であっても発症者がいないわけではなく、かつ症状が出ない段階で他者への感染源になり得ていること、発症に至ると症状の改善後も後遺症が深刻になる例があることなどから、公共交通機関を利用する児童の多い本校としては公立校よりも一段慎重な対応を選択せざるを得ないと考えております。連休後の対応についての詳細は緊急事態宣言の発表を踏まえた上でご連絡を差し上げますが、今後もまだまだ登校せずにオンライン授業を行う日々が続くこととなることはほぼ間違いのないところです。皆様にはこれからもご負担をおかけいたしますが、何とぞご理解とご協力をお願い申し上げます。
元日の読売新聞の一面トップは中国の「千人計画」についての記事でした。海外から優秀な研究者を集める中国の人材招致プロジェクトです。44名の日本人研究者がこの計画への関与をしており、中には中国軍に近いいわゆる国防7校に属し、先端科学技術、AIやロボット工学、神経科学等を研究指導していた研究者もいたとのことです。多額な研究費が保証され魅力的な研究環境も与えられることは研究者にとって大きな魅力なのでしょうが、研究・指導された内容が国防・軍事技術へ転用されるのでは、と大きな懸念が指摘されています。アメリカは監視や規制を強化しているそうですが、千人計画への参加に関する日本政府側の規制はなく、実態も把握できていないとの記事でした。他にも、
・新型コロナウィルスの感染が最初に広がった中国・武漢で情報発信を行ったことを罪に問われた市民ジャーナリストの弁護士であった任全牛氏と、台湾に密航を測って実刑判決を受けた香港民主活動家らの裁判を任氏と共に支援してきた廬思位氏の両名が、弁護士資格を当局から剥奪
・昨年逮捕された香港の「民主の女神」周庭氏は重罪犯刑務所へ
・香港の民主派の立法会議員ら53人が「国家安全法違反の疑い」により逮捕
・新型コロナウィルスの起源を調べるために武漢に派遣されたWHOの調査団が入国の許可を得られていない等々の報道が相次いでいます。
中国とは政治形態も権力構造も異なりますし、個々の人間関係の中では友好的な信頼関係を維持発展させるべきですが、どのような組織体であれ、権力側に従順であれば益を得られ、権力側に疑義を表明すれば大きな不利益が課される、という非人道的非論理的な統治がまかり通れば、組織としての真の成熟や発展は実現しないであろうと強く感じます。我が国でもコロナ感染への対応としての緊急事態宣言を行う段階に至り、国民の自由権が部分的に制限される局面を迎えるわけですが、権力の行使においては、民主的な合意形成が得られるための科学的論理的人道的根拠に基づく丁寧な説明、不利益を被る層への十分な配慮がなされるべきであると感じています。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。