よりよい学校を目指す
よりよい学校を目指す 校長 佐野 新生
秋の訪れを確かに感じる今日この頃です。小学校は9月28日から、全学年登校・一日最大6校時まで、という新時程に移行しました。登校時間帯を拡大したり、給食時は全校の半分だけが食堂で、など、様々な工夫をしながらのスタートです。ようやく4年生以上のクラブ活動も開始されました。依然として収束に向かわない新型コロナウイルス感染への警戒も怠らず、これからの季節性インフルエンザの流行等も視野に入れながら、子どもたちに学校生活の魅力をたっぷり味わってもらいたいと願っています。子どもたちは学校内でできるだけ伸びやかに過ごさせたいと考えておりますので、保護者の皆様にはこれまで同様、健康状態に問題がなく、かつ発熱がないことを登校前に必ずしっかりと確認していただき、2枚のマスクやハンカチを確実に持たせて登校させていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
コロナウイルスとの共存が課題となる中で、学校の姿勢も変わっていかなければならないことが指摘されています。コロナによる休校期間中には、子どもたちにとって自由な時間がたくさん与えられていたはずですが、主体的に学ぼうとする姿勢や、計画的に課題に取り組もうとする学習習慣の定着、といった面ではまだまだ課題が残されていると感じています。本校でオンライン授業の体制が速やかに整えられたことは本当にありがたく、保護者の皆様のご理解ご協力の賜物なのですが、一人ひとりの子どもたちと教師との心のつながりが確かなものでなければ、子どもの学びへの意欲は高まらないという至極当たり前のことも、改めて明らかにされたように感じています。対面でのやりとりができない中で、単にドリル教材が送られていても、それまでの習慣が確立していなければ子どもは主体的に取り組むことはない。動画を配信しても、子どもたちに本当に役立っている動画でなければプラスにならない、等々は、他校からの報告にも見られます。先生方の配信する動画がだんだんとポイントだけをしっかり押さえた短いものに変わっていった、という報告もありました。本校も今後さらにオンライン環境での教育の質を高めていく努力を続けていく必要を感じています。加えて、オンライン授業でつまずいているお子さんには、保護者側からのタイムリーな援助がどうしても必要になることも間違いありません。どんな様子で勉強しているのか、どんな助けが必要なのか、ということに、これからも注意を向けていていただきたく、よろしくお願いいたします。
教育の目的は、子どもを善くすることである、と言われます。学校がそのための機関として十分に機能するためには、優れた教師が個人として活躍するだけでなく、教職員が相互に協力して成果を生み出すことのできる「チーム」となっていることが非常に重要です。Googleは大規模な研究活動の結果、効果的なチームであるためには、「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」が重要であると結論づけています。そして、効果的・生産的なチームであるために最も大切な要素は、そのチームに属するメンバー全てが心理的安全性を感じていること、つまり、たとえ、無知、無能、ネガティブ、邪魔と思われかねないようなことを言っても、自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと安心できること、このことが最も大切なことだと結論づけています。
子どもたちをさらに善くしていくためにも、本校の全ての教職員には十分な心理的安全性が感じられているよう、また子どもたちにも十分な心理的安全性が与えられているよう、配慮を欠かさないようにしなければならないと感じています。
(参照:https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps
/identify-dynamics-of-effective-teams/ )
みんなでいっしょに!作る・学ぶ・楽しむ
3年生
今年度も、桂(かつら)米(よね)多朗(たろう)師匠にお越しいただき、3年生に落語家派遣事業の実施ができました!
落語の中の「おーい!」と呼びかける声に(誰もいないのに)思わず振り向いたり。扇子を使って蕎麦を食べる仕草をしてみたり。本物の落語に触れ、落語のいろは、着物やお囃子などの日本文化についても知る。貴重で充実した内容に毎回大満足・満面の笑みの3年生でした。
なぜ落語家になったのか?「落語が楽しいからです。」「楽しいことを仕事にできるなんて幸せなことです。」「落語には嫌な話がないんですよね。」米多朗師匠もお付きの前座の方もそうおっしゃいます。
真打になるまでには、入門⇒前座見習い⇒前座⇒二つ目⇒真打と何年もかかり、師弟制度の中にいて、大変なことは勿論あるはず……。どんな生き方があるのか?そんなお手本にもなってくださっています。
4年生
夏休み明けの8月26日(水)、社会科の学習に関連して、伝統的工芸品「東京手描友禅」の体験を行いました。文化・文政の時代に江戸にもたらされ現代まで生き続ける工芸を、9名の工芸士の方々より直接ご指導いただきました。
実際に和服や暖簾などに仕上げられた美しい作品を間近に見せていただいたり、制作過程の映像を鑑賞したりするうちに、子どもたちの興味や関心は、どんどん高まっていきました。東京らしい、粋な柄やモダンなデザインは、下絵の段階から全て手描きで作られるそうです。今回は様々な東京手描友禅の技法のうち「友禅挿し」という、絹のちりめん地に染料を筆で色挿しする工程を体験しました。初めはこわごわと筆を運んでいた子どもたちでしたが、慣れてくると色味や全体のバランスを考えながらどんどん製作を進めていきました。工芸士の方々の丁寧なアドバイスとお支えをいただきながら、個性いっぱいの作品が教室中に並びました。
久しぶりの登校日でもあったこの日、地域に根付いた工芸を、仲間と一緒に体験するという価値ある時間をもつことができ、感慨深いものがありました。子どもたちの真剣なまなざしといきいきした姿に触れ、心まで晴れやかになるひとときでした。
子どもたちの感想より
・もようや色には一つひとつ思いがこめられていたんだ、と感動しました。
・さまざまな技術が進歩していく中、手描きということが、東京手描友禅のよいところだと思います。
5年生
毎年、5年生は縁の下の力持ちとして活躍する学年です。例年だと、1学期にもイースター祝会やお楽しみ給食などで、在校生をおもてなしする役割を担っています。しかし、今年度は1学期の行事等が中止になり、5年生として活躍する機会がなくなってしまいました。そこで、2学期最初の給食の日に、学校を支える5年生として、全学年分の席札を用意することになりました。
席札は、「A○番」「B〇番」というカードを作り、その内側にメッセージや絵をかきました。みんなに喜んでもらえるようにと、「2学期も楽しく過ごそうね!」「学校でみんなに会える日が楽しみです!」「いっぱいお友達と遊んでね!」「給食に感謝していただきましょう!」など、心温まるメッセージを書いたり、絵を工夫したりしていました。初めての5年生としてのお仕事なので、はりきって取り組む様子が見られました。
9/2(水)・9/3(木)に最初の給食の日を迎えました。1学期とは異なる座席で給食をいただくということで、自分の席を探す際に、5年生が作った席札が大活躍しました。それぞれの座席に配られた席札を見て、「わぁ!かわいい!」「中にお手紙が書いてあってすごい!」と思わず声を出してしまう子も多くいました。5年生からのサプライズプレゼントに、どの学年の子も皆、喜んでくれた様子でした。
先生方からも、「5年生のおかげでスムーズに席につくことができて、助かったよ!」という声や、「かわいくてすてき!!さすが5年生だね!」とお褒めの言葉をたくさんいただきました。5年生にとっても、学校全体のために働く良い機会となりました。この経験を、また次回5年生として活躍するときにいかしてもらえればと思っています。
6年生
毎年6年生は、9月に南三陸スタディツアーを実施してきました。しかし、今年はコロナウィルスの影響により、現地を訪れることは難しい状況に。美しい自然に囲まれて、いつも優しく迎えてくださる南三陸の方々と、何とかお会いすることはできないかと考え思いついたのが「オンラインスタディツアー」でした。南三陸研修センター「いりやど」スタッフの方々から、多大なるアドバイスとご協力をいただき「南三陸の方に出会おう・南三陸を好きになろう」とのテーマで、9月16日、オンラインスタディツアーを実施することとなりました。
当日は、2021年で震災から丸10年を迎える南三陸現地と中継をつなぎ、美しい青空と里を画面ごしから観ることができました。復興の進む街を一望できる「祈りの丘」からの中継では、案内をしてくださった鈴木清美さんとともに黙祷をお捧げしました。今回はまた、初めて「震災当時小学生だった方との交流」というプログラムを加えました。現在は南三陸を離れ、仙台・埼玉でそれぞれ将来の夢に向かっての準備をしている菅原遥人さん・西条柚香さんからお話をうかがいました。お二人とも将来は南三陸にもどって地域のために活躍したいとのこと。6年生と世代の近い若いお二人のキラキラした表情が6年生たちの印象に残ったようでした。
プログラムの最後に「南三陸に行きたくなった人?」と質問したところ、とびきりの笑顔で「はーい」とたくさんの手が挙がりました。オンラインならではの環境を活かし、今回は保護者の方もたくさん参加してくださいました。これから、ご家庭で「南三陸」が話題にのぼる頻度が増え、事態が落ち着いたらご家族とともに現地を訪れることが、今回のプログラムを支えてくださった方々への、何よりのお礼になるのではないかなと考えています。