学校は何のためにあるのか

学校は何のためにあるのか  教頭 吉田 太郎

 大学受験業界では何年も前から、オンデマンド型の授業が進学実績を伸ばし、ここ最近では小中学生向けにもオンライン授業配信サービスが人気を博しています。どちらのサービスでも名物講師と呼ばれる授業者が画面の向こうの児童・生徒にわかりやすく、質の高い授業を提供しています。我が家でも公立小学校・中学校に通う二人の娘が有料契約しているオンラインサービスの授業の様子を垣間見ますと、大学受験の予備校時代を彷彿とさせるような熱のこもった講義が展開されていました。私が最初に持った感想は「すごいなぁ。わかりやすい!」でした。ときには余談を挟みながら進行する講義を「時間短縮!」と言って、2倍速で受講する娘は「これがあれば学校いらないじゃん」と……。「コロナで休校でも勉強はできるね」「それにしても学校の宿題が多過ぎるよ。家庭科なのにこの宿題ありえない!」「五教科だけでいいじゃないの!」などと、長期に渡る自粛生活に不平不満が噴出します。教師としてはとても複雑な気持ちになってしまうのですが、「授業のわかりやすさ」、という点で言えば、彼女たちの言うように確かにあちらに分があるようです。悔しいわけではないけれど、合理主義的な彼女らの発言に対して、ひとこと物申さなければと、「でもさぁ、これって勉強しようっていう意志のある人しか、無理なんちゃう?」「そりゃそうだよ。でも学校の教室だって同じじゃん!」「確かに……。でも、学校ってところは勉強だけとちゃうでしょう。」「うん、知ってるよ。友だちも大事だし、部活や遊びも。でも休校だし、Stay Homeなんでしょ。」「はい。早く学校再開されるとええなぁ。」と、堂々巡りの議論になりそうだったので、強制終了。
 Covid-19という世界的な危機の中、「生命を守る」という大前提とともに、子どもたちにとって「学校は何のためにあるのか」という問いについて、熟考する時が与えられています。学習指導要領改訂で示されているキーワードは「主体的・対話的で深い学び」なのですが、旧態依然とした日本の学校文化の中で、学校がその役割を果たしていけるのか、残念ながら十分な議論が尽くされてきたとは言えません。どうすれば、休校中のオンラインでも「自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断して行動し、よりよく問題解決する力を身につけること。」が実現するのか、これからも試行錯誤、Try&Errorで取り組んでいくしかありません。保護者の皆様とも一緒にこれからの学びについて考えていきたいと思っています。点を取るだけが勉強じゃないよ。ってことも。
 3月からの長い休校期間に、小学校の先生たちと多くの時間を費やして議論してきたことは「教育を止めない」ために私たちに何ができるか。ということでした。目に見えないVirusと、連日の感染拡大の報道、不十分なIT機器やネットワーク環境、そして私たち教師の乏しいI T知識。方針を決定してもすぐにひっくり返る、日々刻々と変わる状況に、時には疑心暗鬼になりながらも、なんとか立教女学院小学校としての教育を継続することを目指してきました。4月11日にZoomで久しぶりに子どもたちと再会できたあの瞬間、あの時間が「学校」らしさ、だったのではないかと思っています。
 外出制限やテレワーク、Social Distancingによる様々な隔たりが、私たちの「優しさ」「寛容さ」「思いやり」までをも、奪ってしまわないように。これまで以上に大切にしていかなければならないと、不十分な自分に言い聞かせる毎日です。

生活について(休校期間中も以下の点に留意してください)

  1. 生活リズムを整える
    早寝早起き
    手洗い・うがい
    バランスのよい食生活 など
  2. 適度な運動
    太陽にあたる
    散歩やジョギング
    お家の中でのエクササイズ など

学習について(心配しないでください)

休校による学習の遅れなどを心配なさっている方もあるかと思いますが、今は焦らず、じっくりとこれまでの復習や、反復が必要な計算練習、漢字学習、苦手だった分野の復習に取り組んでください。

午前中はオンライン学校。
午後は、読書や音楽、その他なんでもいいので、お子さんの好きなこと、興味のあることに打ち込む時間として、楽しませてあげてください。

知識を詰め込む、詰め込まれるだけの学習スタイルから、自分で課題を見つけて学びに取り組む、本当の意味でのActive Learningへと進化するためのキーワードは子どもたちが持っている意欲と好奇心です。

5月からのオンライン学校

平日は毎日、9:00からオンラインで朝の礼拝を行います。その後、9:15からクラスタイムで出席確認を行います。
オンラインでの授業は1コマ20~30分で、学年別に毎週、時間割を発表します。
まずは1日に最大でも2コマずつ実施していきたいと考えています。
Google Classroomについては別途ご連絡します。
しばらくはzoomと併用でオンライン学校を実施。

小学校のあゆみ

  • 4月8日 動画配信スタート
  • 4月13日 1対1オンラインスタート
  • 4月20日 グループからクラスへ
  • 4月28日 全クラス学級オンライン達成