学校生活

小学校だより

2018/11/28

第236号 2018年9月28日

正義の女神が微笑むように    教頭 吉田 太郎

 最高裁判所が建築されたのは1974年。設計者は茨城県水戸市出身の岡田新一(1928-2014)で、最高裁判所の他、警視庁本部庁舎の設計でも知られている日本を代表する建築家です。設計に2年あまりの歳月をかけ、1971年に着工。外壁に分厚い直方体の花崗岩(茨城県産の稲田石)を贅沢に積み上げた工法で、総工費126億円という巨大プロジェクトとなりました。誰が見ても威風堂々、権威と畏れさえも感じさせる昭和を代表するモダニズム建築です。
 そびえたつようなファサードから花崗岩に囲まれた石畳を歩き、入り口を入った大ホールの両側には、それぞれブロンズ像が置かれています。一つはギリシャ神話のテミスに由来する「正義の女神(Lady Justice)」の像で、右手に正と邪を断ずる剣を高く掲げ、左手には衡平(こうへい)を表す秤を持っています。剣は「力」を、天秤は正邪を測る「正義」を象徴しており、「剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力」として、法の根本を説いています。興味深いのは、この正義の女神は目を閉じているか、目隠しをしているものが一般的で、彼女が裁きの時、自分の前に立つ人を見ないことを意味しており、法とは貧富や権力の有無によらず、万人に等しく適用されるという「法の下の平等」という理念をあらわしているということでした。(諸説、逆説もあり)。最高裁判所の正義の女神像は目隠しではなく、静かに目を閉じているとのことですが、よく目を凝らして見てみると、ちょっとだけ薄目を開けているようにも見えます。天秤の上の正義や衡平が危ういときには、女神が刮目(かつもく)してバッサリ斬ってしまうつもりなのでしょうか。
 石の回廊を歩いていくと、荘厳な静けさの中にふっと、やわらかなものを感じることができます。ごつごつとした花崗岩や直線的な壁面に対して、半円形の天井からはおだやかな光が注いでいるからでしょうか。石の階段にあしらわれた円形のアプローチや、ホール奥にそびえるレリーフは、空高く伸びる大樹を表現しています。建築家の岡田新一は最高裁判所を「石の森」として設計しました。「究極の裁判とは森を切り開いた白日の下で行われる。」というヨーロッパの故事にならいデザインしたということでした。
 そして、圧巻は大法廷です。天井から直径14m、高さ41mの吹き抜けが、光の筒として太陽の光を最後の審判が下される法廷に注いでいます。のちに岡田は「人が人を裁く空間には神聖なものが必要だと考えた」と設計の意図を説明しています。どんなに優れた法律家であっても、人間である以上、究極の裁きの時には神なる存在の力によらなければならない。ということだと私は解釈しています。
 ヨハネ福音書には「真理はあなたたちを自由にする。(8章32節)」という聖句があります。イエスがユダヤ人らに対して「わたしの言葉にとどまるならば、(中略)あなたたちは真理を知り」という言葉のあとに続くものなのですが、「とどまる」というのは言い換えれば「つながる」という意味になります。真理と自由はイエスにとどまり、神とつながることで与えられるということなのです。
 世間では連日のように、日大アメフト部やボクシング協会、体操協会、さらには日本相撲協会など、不正や不当な圧力が疑われるといった、天秤が大きく傾くような事件が立て続けに報道されています。いずれも一部の恥知らずな権力者たちが、密室で自分たちの都合のよいように我田引水しているように見受けられます。お日様の降り注ぐ森で最後の審判が下されるとき、正義の女神に微笑んでもらえるように、いや、愛する子どもたちが微笑んでくれるように、私たちは神さまとつながることでこそ、真理と自由を享受できることを忘れないようにと、祈ります。

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【伝統文化】

≪東京手描友禅 ~4年~≫
 わぁ。色が広がってる。」筆先からすっとさした色鮮やかな染料が絹の布に広がる様子に、驚きと感動の声が聞こえます。4年生が東京の伝統工芸の一つである、東京手描友禅の体験をしたときのことです。
 体験は、いくつもある行程の中の、絹の布に染料をさす「友禅さし」という作業でした。今回の図柄は、江戸時代に作られた着物からおこされた、雲、菊、芝、アザミ、ぜんまいが描かれたもので、教室内はあっという間に色鮮やかに彩られた花々で埋め尽くされていきました。
 途中、慣れない作業に、「色がはみ出しちゃった…」「手が疲れた…」という声も聞こえてきましたが、それも一瞬のことで、「その色いいね!」「どうやってやるの?」などと話しながら、黙々と作業を進めていました。
 最後に、伝統工芸士になるために何年もの修行を重ねられたことや、一つの作品を仕上げるために何ヶ月もかかるものもあること、着物といった日本の伝統を守っていくためにまずは「知ってもらうこと」を大切にしている、といった貴重なお話を伺うことができました。いつか着物に袖を通すときに、今回の体験を思い出してもらえると嬉しいです。(中村)

≪落語 ~3年読書~≫
 今年も3年読書の授業で桂米多朗(かつらよねたろう)師匠(真打)にお越しいただくことができました!!
 今回は文化庁の助成事業で3日間の実施。昨年以上に落語の面白さに笑い転げる3年生。ワークショップの部分が増え、全員が太鼓を叩いたり、扇子を使っての仕草(そば・うどんを食べる、お酒を飲む、小さい刀・大きい刀の抜き方等)を教えていただいたり、代表者が落語を実演してみたりと、どっぷり落語に浸かる3日間でした。
 落語は話し方だけでなく仕草や表情などのコミュニケーションツールを多用します。近年では会社員で落語を学ぶ方が多いとのこと。子どもたちの心や表情が豊かになる機会なのではと期待しています。(読書 本宮)

≪狂言 ~6年~≫
 9月21日、6年生は杉並区和田にある杉並能楽堂に、狂言『柿山伏』『附子』の鑑賞に出かけました。この行事は、毎年6年生がこの時期に行っています。
 室町時代からの歴史がある狂言。ただ、古典芸能というと普段はあまり馴染みがなく、言葉もよくわかるだろうかと6年生は少し不安そうでした。しかし、百年以上の歴史ある能舞台の前に座ると、その伝統や佇まいに目を見張り、演者の方々の朗々とした台詞回しやきびきびとした動きを見て、舞台にひきつけられたようでした。子どもたち自身が狂言を体験するワークショップもあり、最後には、人間国宝の山本東次郎師(能楽狂言方大蔵流当主)のお話と舞がありました。「言霊(ことだま)といわれているように、言葉には魂がある。狂言は誰かに起こる特別なことではなく、人間誰しもが持つ弱さやおろかさを、おかしみをこめて温かく描いているもの。心の中で言葉を育て、魂をのせて相手にさしあげる。」といくつもの心にしみる言葉をいただきました。6年生にとって、楽しくも大変充実したひと時となりました。(高橋)

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≪第41回 私学水泳記録会≫
 9月9日(日)に明星学苑総合体育館プールをお借りして、第41回水泳記録会が行われました。当日は都内の私立小学校14校が集まり、男女合わせて165名の児童が参加しました。
 本校からは選考会を経て、5年生1名、6年生6名の計7名が出場。自己記録の更新を目指して一生懸命泳ぎました。結果としては、ほとんどの選手が選考会や練習時のタイムを上回る健闘を見せてくれました。大会新記録が4つも生まれ、また、他校の上手な選手の泳ぎを間近で見ることができ、大いに刺激を受けた1日になりました。(体育科 草苅)
☆3位までに入った選手たちです。おめでとうございます!
50m自由形 髙藤あのん 36秒07 2位/22人中

50m平泳ぎ 坂本昌哩杏 38秒00(大会新記録) 1位/19人中
50m平泳ぎ 安江菜桜 47秒50 2位/19人中
200mリレー 坂本 昌哩杏、髙畑翠、井上真緒、髙藤
あのん 2分31秒68 3位/10校中

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≪6年生 小中高連携理科講座 ~3D映像のしくみ~≫
 通常は希望者を対象に長期休暇中に実施されますが、今回は理科の授業内で実施し、6年生全員が参加しました。高等学校の原口智先生に、左右の目から入ってきた別々の映像が、脳で1つに合わさるときに「立体」として認識されることを教えていただきました。「ステレオグラム」「アナグリフ」「立体プラネタリウム」等を体験した後、物理基礎を履修している高校2年生による宇宙のお話を聞きました。地球と月について授業で学習しているところですが、他の惑星や衛星について興味をもつきっかけになったようです。               (理科 亀山)
~児童の感想より~
・右目と左目で見ているものが少しちがうということに、大変おどろきました。
・高校生のお姉さんが面白く説明してくれたので、小学生の私たちでもわかりやすかった。
・地球は人が生きていくための条件が奇跡的にそろっていて、私が今ここにいるのも奇跡だということがおどろきだった。地球の住みやすさが改めてすごいと思った。

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≪退職者あいさつ≫ 杉山佳奈(体育科)
 10月に出産予定のために退職することになりました。3年間大変お世話になりました。特に体育の授業を通して、子どもたちと共に学ばせていただけたことをとても感謝しています。体育行事をはじめ、遠足やスタディツアー、社会科見学など各種行事にも引率をさせていただきました。授業とは違った子どもたちの学びの姿を近くで見られたことは、忘れられない思い出です。
 1度しかない人生。たくさんの人との出会いが待っているように、たくさんの遊びや運動、スポーツとの出会いも待っています。どうぞ様々な出会いを大切にしていってほしいと思います。3年間本当にありがとうございました。

≪新任者あいさつ≫ 山﨑紀子(やまざきのりこ)(体育科)
 9月より体育科専科として、一緒に学ぶことになりました。2年生、3年生を担当いたします。
 私は、身体を動かす喜びや楽しさを感じ、健康な身体をつくり、そして生涯にわたって何か好きな運動をひとつ見つけてほしいと願いながら授業をおこなっています。私自身、幼い頃よりダンスを通して、たくさんの楽しい時間を過ごしてきました。10月におこなわれる運動会の、皆さんのダンスがとても楽しみです。
 どうぞよろしくお願いいたします。

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