学校生活

小学校だより

2018/7/20

第233号 2018年6月27日

異なる存在との新たなる出会い    教頭  吉田 太郎

 カンヌ映画祭、パルムドール受賞で話題の『万引き家族』、もうご覧になった方も多いのではないでしょうか。この作品について語るには到底紙幅が足りませんので、今回はこの映画の中の、とても印象的な場面で朗読された『スイミー』について、鑑賞後、私自身がもやもやしながら?考えたことを共有させていただきたいと思います。

 『スイミー』(Swimmy)はオランダ出身のアメリカ人作家、レオ・レオニの1962年の作品です。日本語訳は谷川俊太郎で『スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし』として親しまれてきた絵本です。光村図書の2年生の国語教科書に採用されたのが1977年という事ですから、親子2代にわたって読み継がれてきた絵本の一つです。

 レオ・レオニは1910年、オランダのアムステルダムに生まれ、ベルギー、イタリアと移り住み、1939年にアメリカへ亡命しました。きっかけはイタリアのファシスト政権誕生への危惧と人種差別法への抵抗だといわれています。その後、1945年にアメリカ国籍を取得し、広告代理店、新聞社などでグラフィックデザイナーとして働きながら、絵本作家としてデビューします。デビュー作は孫のために創った『あおくんときいろちゃん』(Little Blue and Little Yellow 1959年)。「あおくん」と「きいろちゃん」がある日、重なり合い、混じり合うことで新しい「みどり」という色になることに気づく。互いに尊重し、影響しあう個という存在が描かれた作品でした。

 さて、前置きが長くなりましたが、絵本『スイミー』について、思い返してみましょう。赤い魚の兄弟の中で一匹だけ真っ黒で小さな魚だったスイミー。泳ぎが得意で誰よりも速く泳げたことから、他の赤い兄弟たちはみんなマグロに食べられたのに、一匹だけ生き残ります。兄弟を失った悲しみの中、暗い海の中を一匹で放浪しながら、様々な魚たちに出会います。「顔を見るころには尻尾を忘れているほど長いウナギ」「水中ブルドーザーみたいなイセエビ」など。自分とは違う異質な存在、様々な出会いがスイミーを成長させていきました。そしてある日、マグロに怯えて暮らす兄弟たちそっくりの魚たちに出会い、小さいという弱点を克服する術を仲間たちに提案します。スイミーは自分の真っ黒な身体を活かして目となり、マグロを追い払い、逃げ隠れすることなく自由に泳げる世界を取り戻していく。というお話です。

 レオ・レオニはこの作品で何を表現しようとしたのか。国語の授業では子どもたちも様々に感じ、考えるのでしょう。大人になって改めてこの作品を読み返しますと、自己実現、自己表現、勇気や知恵、多様性と個性の尊重など、海よりもまだ深い、テーマが内包されていることに驚かされます。敢えて、この『スイミー』を現代的な解釈で読み直すならば、私はここにキリスト教学校が育てようとする人間像を見出します。作中に描かれた「風に揺れる桃色のやしの木みたいなイソギンチャク」や「虹色のゼリーのようなクラゲ」といった異なる存在との新たなる出会いを成長の糧とし、世界の大きな困難に仲間と共に立ち向かい、自らは「目」となり(役割を担い)、奉仕する者として働こうとする。スイミーはそのロールモデルといえるのではないでしょうか。

 映画や絵本など、作家が何を表現し、何を伝えようとしたのか、そして私たちは何を考え、どのように感じるのか。お子さんの教科書(本棚の絵本)を引っ張り出して、親子で語り合ってみてはいかがでしょうか。くれぐれも大人の解釈を押し付けるようなことはしないように細心の注意を払いながら。

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≪テノール歌手ジュリアン・グレゴリー氏来校≫
 世界的に活躍している男声アカペラグループ「キングス・シンガーズ」のメンバーで、日英音楽協会合唱団の副音楽監督でもあるジュリアン・グレゴリー氏が来校し、朝の礼拝で歌声を聞かせくださいました。来校は昨年に引き続き2回目です。
 礼拝ではアンセムとして「Amazing Grace」を、礼拝後には、ヘンデル作曲「Largo」日本の唱歌「ふるさと」を披露してくださいました。

 音楽は世界中の人とつながることができる大切なツールです。これからも音楽を愛し、音楽と関わる生活を送ってください。

と、メッセージをくださいました。テノールの美しい歌声に、心が温まる礼拝となりました。(音楽科 上川)

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≪陸上記録会 報告≫
 6月4日(日)成蹊学園にて、第40回陸上記録会が開催されました。日頃の体育実践の発表と児童相互の親睦を深める機会として、この時期に毎年開催されています。
 今年は、都内の私立小学校11校が参加。選考会を経て、本校からは4年生2名、5年生3名、6年生11名の計16名が学校代表として出場しました。
 選手たちは、素晴らしい競技場で、少し緊張しながらも自己記録の更新を目標に精一杯がんばりました。天候に恵まれ、他校の選手とも競い合うことができ充実した1日となりました(体育科 草苅)

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≪出会おう!プロフェッショナル≫ ~作曲家多田彰文(ただあきふみ)先生をお迎えして~
 6年生の音楽の授業で、作曲家の多田彰文先生をゲストティーチャーとしてお招きし、全3回にわたり合奏の授業を指導していただきました。
 取り組む曲は「スターウォーズ メインタイトル」です。耳馴染みのある曲ではありますが、三連符やシンコーペーションが多用され、リズムが複雑です。足先でビートをとらえながら、手拍子で二分割、三分割する練習を教えてくださいました。三連符がうまく出来ないときは「キャベツ」「しぶや」などの言葉をはめると良い、ということも教えてくださいました。
 先生の言葉で印象的だったのは、「間違うことを恐れない」という言葉です。「まずは一生懸命練習する。その上で本番で間違えたとしても、それはその日その場所でしか起こり得ない偶然の出来事。聴衆にとっては特別な思い出になるのです。ですから間違うことを恐れないで、自分の気持ちを素直に表現しましょう。」と。
 時に子どもたちは、間違って目立つことを恐れ、のびのびとした表現ができていないことがあるように感じます。そのような子どもたちにとって、心強いメッセージでした。
 最終回には多くの保護者が参観にきてくださり、成果を発表しました。子どもたちは皆、多田先生のやさしく丁寧なご指導のおかげで、自信を持って自分らしい表現ができていました。特別ゲストとしてお連れくださった、ドラムの宮本ブータン知聡(ともあき)さんとのセッション、「スターウォーズスペシャルアレンジ」には、子どもたちも大人たちも大喜び。良い学びと良い思い出ができました。(音楽科 上川)

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≪大きくなあれ わたしの やさい≫
 5月中旬より、2年生では、生活科の学習の一環として野菜を育てています。今年度は、全員同じ野菜を育てるのではなく、一人ひとりに育ててみたい野菜を選んでもらいました。自分の好きな野菜を愛情をもって育ててほしいという思いと、それぞれの野菜の共通点や相違点に気づいてほしいという願いからです。
 野菜を育てるにあたり、それぞれの学級で、ミニトマト・ピーマン・なす・おくら・えだまめの5種類から、自分が育ててみたいものを1つ選びました。「私はミニトマトが大好きだから!」という理由から決める子もいれば、「どんな風に育つか見てみたいから、えだまめにしたい!」と言っている子もいました。それぞれの思いをもって野菜を選ぶことができました。
 子どもたちは野菜の苗が届く日を心待ちにしていました。いよいよ苗の植え替えの日になると、子どもたちは朝から大喜びでした。それぞれ好きな野菜の苗を受け取り、根を傷つけないようにそっと植えました。「葉っぱの形がぜんぜん違う!」「なすは茎が紫色っぽい!」など、違いに気づく子もいました。植えた後には、土をかけて、そっと水をやりました。「大きく育つといいなぁ!」という、子どもたちのつぶやきから、楽しみな気持ちが伝わってきました。
 子どもたちは毎日、朝と放課後に水やりをしています。毎日の水やりの中で、葉っぱが大きくなることや、花が咲くことに喜びを覚えています。実がなり始めている鉢もあり、「早く食べたいな。うれしい!!」と喜びを報告してくれる子もいました。どの子も、日々の野菜の成長を楽しみにしている姿が見られます。また、それぞれの野菜の花の色や形の違いを見つけ、どうして色が違うのかを予想し合う場面もありました。今後も引き続き、野菜を育てる活動を通して、植物を育てる楽しさと喜びを実感すると同時に、植物の多様性への理解を深められればと思っています。(2年 尾崎)

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≪色鉛筆≫
 今年度から、私は器楽クラブを担当することになりました。自分自身も、中学校の3年間は弦楽合奏クラブに所属していたので、すごく楽しみでした。器楽クラブには、もともとバイオリンの先生と、チェロの先生、そしてトランペットを担当する堀口史哲先生がいます。月に1回、プロのフルートの先生も来てくださっていますが、初心者ながら私もフルートの担当をすることになりました。ただ見ているだけではつまらない、やるなら一緒にやりたい、と思った私は、体験レッスンに行き、フルートを吹いてみることにしました。人生初の体験です。しかし……。音が、思うように出ない。バイオリンもチェロも、音を出すことが難しいと思った記憶がなかった私は、「え、こんなに難しいの?」と驚きました。あんなに滑らかに演奏している歴代器楽クラブの子たちが吹いているフルートと、これは同じ楽器なのか?と疑ってしまうほど、私には衝撃的な瞬間でした。それを体験レッスンの先生に伝えると、「私にとっては弦楽器の方が難しいですよ!」と言われ、「それもそうだけど……」とどちらの難しさも理解できるものの、先が見えない不安にかられました。ただ、できないものは残念ながら、すぐにできるようにはなりません。5・6年生が初心者である4年生を教えているのを横に、私も同じ練習をしています。少しずつでも、上達していけるように、これからも一緒に頑張っていきたいと思っています。(鈴木)

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