学校生活

小学校だより

2018/1/30

第226号 2018年1月9日

小川清先生の精神    校長  佐野 新生

 明けましておめでとうございます。あらたまの春を寿(ことほ)ぐことができました。厳しい寒気が東日本、西日本と交互に流れ込み、大雪などの被害も出ていましたが、東京は穏やかな天気に恵まれました。現在も困難を抱えておられる方々には心からお見舞いを申し上げます。 

 新たな年2018年は戌年です。戌年は「結実」を表す年と言われ、従来まで続けられたさまざまな取り組みに、結果が表れる年とも言われています。今年の大発会は26年ぶりの高値水準で幕を閉じたそうで、大企業を中心とした景況感は上向きのようですが、米国・中東・北朝鮮等との関係、人口減少、少子高齢化、大規模地震への危惧といった国内外の様々な不安材料も厳然と存在しており、予断を許さない状況です。社会情勢にも十分に配慮しながら、慢心を戒め謙遜な心でしっかりと神に祈りつつ、本校本来の役割をしっかりと担って参りたいと存じます。お子さんにとっても保護者の皆様にとっても良い年になるようにと願いながら、教職員一同、日々頑張って参ります。 

  この冬休みに改めて、長い間立教女学院を支えてこられた小川清先生の記念誌『恩寵と感謝』(立教女学院資料室編、2009年)を読みました。小川先生は小学校創設の翌年である1932年に東京帝国大学文学部を卒業後、立教高等女学校教諭となり、その後立教女学院中学校・高等学校・小学校校長、立教女学院院長、立教女学院理事長を歴任され、戦前、戦中、戦後の立教女学院を実質的に支えてこられた、まさに立教女学院そのものといった方です。保護者会でのお話の素晴らしさ、特に小さな子どもたちを大切にする姿勢など、その人となりを物語るエピソードがたくさん載せられていました。私も小学生の頃、母と一緒に街中で小川先生に偶然お目にかかったことが何度かありましたが、いつお会いしても実にダンディな出で立ちで、小さな声で温かく「元気にやっていますか」、「いくつになったのかな」などと二言三言声をかけて頂いたのが嬉しかったです。子どもながらにも人に対する愛情の豊かさと、自らの生きる姿勢への厳しさが強く感じられて、実に清らかな人だなぁ、という強烈な印象を受けていました。 

 某新聞社による都内の高校の卒業生を中心に紹介する「私もこの学校に学んだ」というシリーズの記事の取材を小川先生が受けた際、前もって新聞社側が調べた女学院出身の著名人の在校当時の様子等の質問に、小川先生は、「今名前の挙がった人たちは確かに本校の誇りです。しかしそうした卒業生だけがこの学校の誇りでもなければこの学校の教育の在り方を代表するものでもない。世間では名もない学校で受けた教育を身につけて社会に出て、いろいろな人から喜ばれる素晴らしい働きをしている卒業生もいる。キリスト教の学校であるこの学校では、そういう卒業生がいることを嬉しく誇りに思っている。」(前掲書)という趣旨を回答されたそうです。前院長の中村邦介先生はこの本の緒言で、小川先生のこの精神を、「小川先生を範として、教育が心を配らなければならないことは、ある少数の限られた人々の持つ優れた才能や能力に注がれるだけでなく、むしろ多くのごく普通の人たちが本来持ちうる、その人間らしい優しさと誠実さ、そして知恵や想像力を開花させることにある」とまとめています。このことは、本校教職員が「ひとりひとりを大切にする」、「個々の個性の尊重」という考え方を現場で生かしていく際に、欠くべからざる重要な視点であると感じました。
 今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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≪色鉛筆
 今から10年前の331日、103年の歴史に幕を閉じた学校があります。明治38年創立、茨城県常陸太田市立金砂(かなさ)小学校です。統廃合により、金砂小学校と近隣の金郷(きんごう)小学校が合併し、金郷小学校の校舎と校地を利用して新たな“金砂郷(かなさごう)小学校”として歩み始めました。使われなくなった金砂小学校の校舎を改修して2012年に完成したのが、金砂ふるさと体験交流施設「かなさ笑楽校」です。4・5年生がスタディツアーでお世話になっており、私自身も引率として幾度となく訪れる場所です。
 バザーで金砂郷米を1人でも多くの方に手に取っていただきたい―そのような思いで米袋のデザインをさせていただきました。今年は何か「金砂らしさ」が伝わるものが作れないだろうかと考え、模様に金砂小学校の校章を取り入れました。玄関前で集合写真を撮ると写っているので、見覚えがあるという高学年もいるかもしれません。いつも子どもたちの元気な声が聞こえ、何代にもわたり思い出の場所であり続け、長らく地域の方々に愛されていたであろう金砂小学校。閉校になり新たな施設に生まれ変わっても、変わらずに校舎の正面で静かに堂々と掲げられている校章―。美味しいお米を召し上がりながら、そんな地域の背景にも思いを馳せていただけると幸いです。(亀山 詩乃)

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